142発目 詩の話。

朝から雪が降っている。 こんな寒い朝は、駅までの 道のりも普段より長く感じる。 誰もがエリを立てて ここを通り過ぎていく。 私は一人、駅のホームで 立っている。 マフラーをほどかんばかりの 風が私の横を通り過ぎる。 雪は 続きを読む 142発目 詩の話。

141発目 失禁の話

年齢のせいか、くしゃみをしたら 少しだけパンツが濡れる。 誰にも言わないで欲しいが 下半身が弱くなってるのは 否めない事実だ。 そういえば、失禁といえば 思い出すことがある。 二十歳の頃の話だ。 福岡の東の端っこに 犬鳴 続きを読む 141発目 失禁の話

140発目 運ってなんだの話

右も左も随分遠くまで見渡せる。 左を見ると線路沿いに果てしなく 田んぼが続く。 正確に言うと『果て』はあるのだろうが、 この位置からは『果て』は見えない。 右を見るとちらほらと民家はあるが ラフランス畑が続いている。 私 続きを読む 140発目 運ってなんだの話

139発目 間違う話。

休日を子供と過ごす。 川原に行って散歩をする。 太陽の光を跳ね返す川面を 見ていると、まぶしくて 目を細める。 微笑んでいるような表情になるのは きっと、幸せを感じているからだろう。 お父さん、海と川の境目はどこ? と子 続きを読む 139発目 間違う話。

138発目 火に油を注ぐ話。

目が覚めたら、窓から燦燦と 日が差し込んでいた。 のっそりと起きだしたボクは 階段を下りながら 今日は何曜日だっけと ぼんやりと考えていた。 14歳、中学2年生の冬だ。 リビングのドアを開け おーい母ちゃんと声をかける。 続きを読む 138発目 火に油を注ぐ話。

137発目 自由を奪われる男の話 その後

昨年の10月24日。『112発目 自由を奪われる話』 で紹介した男、名前を『ノブ』という。 彼が溝に閉じ込められる数ヵ月前、 季節は夏真っ盛りで中学生の 思い出作りとしては最後の夏休みだった。 地元の農業用貯水池で、私の 続きを読む 137発目 自由を奪われる男の話 その後

136発目 正義感の話。

子供にあまり勉強しなさいって 言うのもかわいそうな気がして 今のうちに遊んどくんだよって 言ってみるが、ふと思いとどまる。 あのかつての友人たちを思い出すと やっぱり辛いかもしれないが 勉強はやっておきましょうという 結 続きを読む 136発目 正義感の話。

135発目 素晴らしきこの世界の話

自宅のすぐ近くに大きな公園がある。 冬であるにもかかわらず、木々には 緑、目映い葉が茂り、花壇には 花が咲いている。 最上段の芝生を敷き詰めた広場から 空を見上げると、冬だからか 空気がとても澄んでいて 青い空に真っ白な 続きを読む 135発目 素晴らしきこの世界の話

134発目 言葉が通じない話。

独身の頃はもとより 結婚してからも子供ができるまでは 割と頻繁に海外旅行に行っていた。 なんとなく勢いで英語が話せるように なってからはパッケージのツアーじゃなく 個人旅行を楽しむ余裕すら出来てきた。 今の会社に入ってす 続きを読む 134発目 言葉が通じない話。

133発目 ばあちゃんの話。

込み入った事情は知らないが ばあちゃんがそう言ってたのでってことが 多々ある。 夜に口笛を吹くと蛇が来る。とか 午後に靴をおろすと怪我をする。とか 地域や地方によって多少の差はあるものの こういった『ばあちゃんの格言』み 続きを読む 133発目 ばあちゃんの話。