135発目 素晴らしきこの世界の話


ルイアームストロング

自宅のすぐ近くに大きな公園がある。
冬であるにもかかわらず、木々には
緑、目映い葉が茂り、花壇には
花が咲いている。
最上段の芝生を敷き詰めた広場から
空を見上げると、冬だからか
空気がとても澄んでいて
青い空に真っ白な雲が浮かぶ。

あぁ、なんて素晴らしい天気だ。
と、しばし冬の冷たい空気を
堪能する。

ふと、ルイアームストロング
名曲を思い出した。

『木々には緑の葉が茂り、赤いバラが
私やあなたのために咲き誇る。
青い空や白い雲、目映い日々や
暗闇は私たちにおやすみと言っているようだ。
私は自分のことを考えてみる。
なんて素晴らしいこの世界』

ふと、横を見ると同じように空を見上げ
たたずんでいる老人がいた。
光り輝く空に目を細めている。

黒いジャケットに白いタートルネック。
グレーのスラックスに、おそらく
ドクターマーティンの編上げブーツ。
とてもおしゃれな老人だ。

私は彼を見ながら、ルイアームストロングのように
自分自身について考えてみる。
私もあんなふうに年を取りたいな。と。

私たちの頭上を名前も知らない鳥が
旋回している。
まるで私たちを歓迎しているようだ。

その老人は口笛を吹いて指を鳴らし
鳥を呼んでいる。
鳥は何度か老人の頭上を旋回し
私のほうへ飛んできた。

あぁ、なんと素晴らしきこの世界。

鳥は何度か旋回を繰り返し
また老人の頭上へと戻っていった。

急降下と急上昇を繰り返す。

なんていう鳥なんだろうと
ぼんやりと考えていた。

鳥は老人の頭の上に
『ペッ』とフンをもらし
去っていった。

老人は声も出さずに頭のてっぺんを
手で払っていた。

私は息子と娘を促し、
『さぁ、おうちに帰ろう』と言った。

あぁ、なんて素晴らしきこの世界。

ウンコハ、イヤダ

合掌

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