719発目 駅前と煙草とメルセデスベンツの話。



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ライナーノーツ



先日、こんなことがあったと

正面に座る私に向かって

彼はポツリと語りだした。

 

夜の居酒屋は酔客で

ごった返しており、

うつむき気味にグラスに

口をつける彼は

どちらかというと

その場にいてはいけない

雰囲気すらあった。

 

『非常識な人間を

見つけると

許せないんです。』

 

自分が正しいと

信じて疑わないタイプの

頑固なオサーンが

酔うと質が悪い。

 

『どうされたんですか?』

 

と相槌のようなものを

打っては見たが

私自身はさほど

彼の話に興味はなかった。

 

 

彼はグラスに残った

ビールをぐいと

飲み干すと

語り始めた。

 

『駅前でガードレールに

腰掛けて煙草を吸ってる

男がいたんですよ。』

 

心の中では

「な~に~

やっちまったな~」

と言っていた。

 

私は黙って話の先を

促した。

 

『非常識だと思いませんか?

駅前は禁煙地区ですよ。

だから私は注意すべきだ

と思ったんです。』

 

常識か非常識かは

私には分からないが

かの有名な

芥川龍之介先生の言葉を

借りると

 

「危険思想とは

常識を行動に移そうとする

思想である」

 

(詳しくはこちら

589発目芥川龍之介の話。)

 

おそらく彼のその

常識を行動に移そうとしたことが

これから起こるだろう

危険な場面を示唆していた。

 

『私はゆっくりと彼に

近づいて、彼の正面に立ち

彼と目が合うのを待ちました。』

 

それはそれで気色悪いですね、

と言わないだけの礼儀はある。

 

『彼は私になんですかと

言いました。

だから私はこう言いました。

 

あなたはいつから

煙草を吸っていますか?と』

 

ほほう。

 

変わったアプローチだな。

 

『彼は私に、つい今しがた

ですが、と答えました。

私はそうじゃない、と。

何歳から吸っているのか

聞かせてくれと言いました。』

 

『それを聞いて

どうするつもりだったんですか?』

 

思わず私は口をはさむ。

 

『すると彼は高2くらいかなぁ

高3だ。部活引退してからだ、と

素直に答えてくれました。』

 

彼は私の質問を無視するように

話を続けた。

 

『ところであなたは

一日に何本吸いますか?との

問いに彼は2箱だと答えました。

何本?と聞いたのに

箱数で答えたことは

咎めませんでした。

こちらで計算すれば

分かる事ですから。

つまり彼は1日に40本の

煙草を吸っていることに

なります。』

 

『ほう、それは

吸い過ぎですね。

注意した方がいいです。』

 

彼は私の冗談など

無かったことのように

話を続けた。

 

『今何歳ですか?との

問いにも彼は素直に

26歳だと答えてくれました。』

 

『あのう、いったい

これは何の話。。。』

 

『私はそこで車道に

停まっている白い車を

指さしました。

あそこの車が見えますか?

あれは何ていう車ですか?

との問いにも彼は素直に

メルセデスベンツですと

答えてくれました。』

 

『えっと、煙草を吸っている

こと以外はすごく良い青年じゃ

ないでしょうか?』

 

何度目かの無視をされた

私は彼の話を一方的に

聞くしかない。

 

『もし、あなたが

煙草を吸ってなかったら

あのメルセデスぐらい

買えたのですよ。

もったいない!と

私は言いました。』

 

『えっと注意するつもり

だったんですよね?』

 

『そうです。注意する

つもりでした。』

 

ようやく彼が私の

言葉に耳を傾けてくれた。

 

『ここから、私の攻撃だと

思った矢先ですよ。』

 

『いや、今までも十分

あなたの攻撃だったような。。。』

 

『彼は何と言ったと

思いますか?』

 

『さあ?』

 

『あのメルセデスは

私のですって

言ったんですよ!』

 

そうして彼は

空いたグラスを握りしめ

店員にビールのお代わりを

注文した。

 

『えっと、あのう、

結局どういうことなんですか?』

 

『世の中は不公平だって

話です。』

 

『で、最後は彼に

何て言ったんですか?』

 

『駐停車禁止地区ですよ、

と注意しました。』

 

当初の目的と

チガウジャネエカ

 

合掌

 



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