漠然と 「あそこの家系ラーメン美味しいよ」 と言われても困る。
なにしろ、こちとら家系ラーメンがどういうものか分かってないから、何を基準にしての「美味しい」なのか理解できないからだ。
例えば、初めて入った店でこう言われたシチュエーションを想像してくれ。
「いらっしゃいませ。 本日はライス大盛り無料サービスとなってますがいかがなさいますか?」
そんなこと言われたら、当然、大盛りを選ぶだろう? だって万が一 食べ切れなかったとしてもこちらの懐はちっとも痛まないから。
だけど、出てきたライスを見て愕然とする時があるじゃない? おい!これが大盛りかよ!って。 お前の大盛りってこの程度かよ!って。 これで大盛りなら普段はいったいどれくらい盛って出しとるんじゃ!って。
逆だってあるよ。 マンガやん!ってくらい盛ってくる店。 やりすぎじゃね?ってくらいの。 おかずが足りんや~ん、ってなるよ。ペース配分が丸っきり分からん。
オレなんか目が悪いから、こんな大盛りなんて遠くから見たら 「カキ氷かな?」って思うもんね。
だからそもそも基準が分かった上での「大盛り」じゃないと、お互いの認識に齟齬が出るんだよ。
「普段はこれくらいの量で出してるライスが今日は無料でこれくらい盛って出しますけどいかがですか?」
って言うべきだよな。
話がすっげぇ逸れたけど、オレが言いたいのはライス大盛りの話じゃなくって基準があって初めて比較できるって話なんだ。
今日は朝から人間ドックだったんだよ。 で、横浜に来て初めての人間ドックだったから緊張してたの。 でも事前に送ってこられたアンケートや検便のヤツとかの他に検尿のヤツが入ってて「親切だなぁ」って感じたね。 だって今までは家からクリニックに着くまでず~っとおしっこを我慢しなきゃいけなかったからさ。(←詳しくは489発目 涼しい朝に汗をかく話。をご参照)
初めて来たクリニックで、今回はもう一つ初めての体験、胃カメラをやっちゃうよ~。
胃カメラと言うと今から15~16年前に猛烈な腹痛でぶっ倒れて医者に行った時にやったのが最初で最後だったから、前回の記憶なんてないんだよなぁ。 だから胃カメラはほぼ初体験なの。 しかもこのクリニックはカメラを口から入れると苦しいから鼻の穴から入れるっていうウルトラCをやってくれるっていうからさ、緊張と不安でドキドキしてたんだ。
事前のアンケートや承諾書にも鼻胃カメラの詳細が書いてあった。 鼻血が出やすい人は出来ません、とか。 鼻の穴が細い人は出来ません、とか。 右の穴か左の穴かはこちらで決めます、とかだ。 気になったのは「アレルギー性鼻炎ですか?」という設問だった。 そうだよ。鼻炎持ちだよ。 ダメなの?
名前を呼ばれ小さな個室に通された。 白衣の若い女性が近づいてきてレジメを見せながら説明を始めた。
「何か質問はありませんか?」
オレは彼女の説明を聞いて、あらためて鼻胃カメラが怖くなったんだ。 だから聞いてみた。
「鼻からやるメリットってなんですか?」
「そうですね。 口からやるよりもずっと楽ですよ。」
基準がないんだよ! 基準が!
口からやる場合の苦しさのバロメーターを持ってないんだよ!こっちは!
「すいません、口からやったのって15年以上前の話で記憶がないんですが、喩えて言うとどんな感じですかね?」
「え~?そうですねぇ。 ゴルフボールをかまずに飲み込む感じですかねぇ?」
いやいやいやいや。 それはきついよ。
あ、いかん、麻酔が利いて来た。 喋りづらい。
「はい、じゃあ行きますね~。あ~力は抜いてください~。」
グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ
で、結果を言うよ。
めちゃめちゃしんどい。
喩えて言うならねぇ、五稜郭のお土産で貰った巨大鉛筆をブッ刺された感じ。 こんなヤツ。
時間にして10分くらいだったのかな? ここ数年で一番しんどかった。 数十年ぶりに苦しくて泣いたもん。
「大丈夫ですか?」
「いえ、全然大丈夫じゃありません。」
「苦しかったですか? どうぞ、これ使ってください。」
ナースは心配そうにオレが座るベンチの横に腰掛けてポケットティッシュをくれたんだ。 彼女が美人だったのがせめてもの救いだな。
「鼻から入れるカメラの方が細いから皆さんは楽だっておっしゃるんですけどねぇ。」
え?
あると?
アレより細いのが?
ほんならそれを口からほり込んだらんか~い!
細いのがあるんなら、口から入れてくれたら良かったのに~。
もう鼻から入れるのは絶対にヤメにしよう。
結局ね、口から入れるのが200苦しいとしたら鼻からは190です、とか 基準を具体化して比較の結論を言ってくれないと分からないんだよ!
ニドトイヤダ
合掌
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