73発目 伝説の男の話。


舞台IMG_1606
私の通っていた中学というのは
当時、非行少年であふれ返っていた。
廊下をバイクが走ったり、ベランダでシンナーを
吸ってるヤツがいたり、校内暴力は
しょっちゅうの事、運動会や文化祭には
学校の周りを警察が囲んだりしていた。

当然、授業も受けないし
勉強もしないので、頭は驚くほど悪い。

行ける高校なんて数に限りがあるため
ほとんどのヤツ等が越境して
田川の方の高校に行く。
定員割れして、偏差値も測定不能って
くらいの不良高校で、
喧嘩自慢のヤカラがアチコチから集まる。

ある日、その高校に行ったヤツ等と
会う機会があった。

どうだ、高校は面白いか?と尋ねる。
『すごいぞ、さとる』と、興奮して
こんな出来立てほやほやの逸話を
話してくれた。

田川でも有名な喧嘩の強いヤツがいる。
伝説の男だ。
昨日、すごいことがあった。
時速80kmで走ってくる原チャリを
正面から受け止めた。・・・と。

まてまて!

まず一つ目。
原チャリは時速80kmも出ない。
そして二つ目。
時速は別として、本当にすごいのは
そいつに原チャリで正面から向かって行ったヤツだ。
つまり、原チャリの運転手だ。

私はそう指摘した。

なるほど、そうだなと
ヤツは納得したようだった。

その後、伝説の男は失脚し
変わりに原チャリの運転手が
崇められてるという噂が耳に入った。

伝説になるのは難しいのだ。

ナリタクナイガ・・・

合掌

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