74発目 高をくくる男の話。


舞台IMG_1606

予感はあった。
虫の知らせというのだろうか、
ピンと来ると言うほどはっきりしたものでは
無いが、それでも結果を想像させるくらいの
予感はあったんだ。

過去を振り返ると、
といっても私の過去なんて
高々40年くらいのものだが
この手の予感がした場合、
ほとんど的中している。
そして、そのほとんどの場面で
後悔している。

忙しいからな、と後回しに
してしまう。
誰に咎められる訳でもないのに
自分に対して言い訳をする。
人間の、いや、私の最も駄目な
部分の一つだ。

後悔はするが、反省はしない。
典型的な駄目人間じゃないか。

とはいえ、根拠は無いが
今回に限っては、この予感は
当たらないんじゃないか・・
と、高をくくる。

博多行きの電車は、ホームで
入り口を開けて待っている。
これに乗り遅れると、遅刻だ。
こうゆう焦りも判断を狂わせる。

電車に乗り込む。
博多駅まであと一駅、
あと一息!
と、そこで予感が的中した。

落雷を思わせる変化が
下腹部で起こる。
ザッと頭の中で計算する。

降りて、改札抜けて、オフィスまで
信号の無いところを渡って、5分だ。
保つのか?

改札を前にして、階段を下る前、
限界が近づいた。というよりも
限界を超えつつあるといった感じだ。

仕方ない、とトイレに駆け込む。
なんとか間に合った。

ホッと一息ついて、ゆったりと
改札を抜ける。その頃には
予感があったことなど記憶から
消し飛んでいる。

おそらく、また同じ過ちを繰り返し
限界へ挑戦することになるだろう。

セイチョウシナイオトコ

合掌

“74発目 高をくくる男の話。” への1件の返信

  1. 途中でゲンカイ越えなくて良かったっすね、(笑)越えてしまったら…………
    立ち直れなさそう(笑)

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