72発目 負けた男の話。


舞台IMG_1606

一歩外に出ると、何人敵がいるんだっけ?

そんな事を思いながら、リビングの
ソファーで一日を振り返る。

朝、満員の通勤列車で博多駅までの
13分をじっと耐える。
車窓から外を眺める余裕もなく、
揺れるたびに足を踏ん張る。
体温の高いオッサンが体重を
かけてくる。暑いわ、重いわ。
13分の戦いだ。
耐えた、私の勝ちだ。

事務所に着く。
山のように積み上げられた書類を
ため息を我慢して見下ろす。
待ってくれよ。まず、新聞を読ませてくれ。
しかし、次々に出社して来る部下を
待たせる訳にはいかない。
書類に目を通し、承認印を押す。
およそ20分の戦いだ。
捺印を終える。
よし、私の勝ちだ。

先日、打ち合わせした企画が
暗礁に乗り上げた。
本部の決済が下りなかった。
プロジェクトのメンバーは
『この企画が通れば、地域で一番も
夢じゃないね。』とニコニコしていた。
もう一度、企画を練り直す。
欠点が見えてきた。
逆転もあり得るぞ!
足掛け二日の戦いだ。
よし、私達の勝ちだ。

ようやく家路につく
目に見えない敵との戦いは、
これから始まる。
駅からの帰り道、足早に歩いたせいで
汗をかいている。先ずはシャワーだ。

浴室から出る。
汗は止まらない。
TVでは、計画停電の話題、

汗を拭く。
一日を振り返る。
戦いは続いている。

ダメだ。

エアコンのスイッチを入れる。
私の負けだ。

3ショウ1パイ

合掌

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