近頃の博多駅近辺は、にわかに騒がしい。
九州新幹線開通の影響もあって
筑紫口のロータリーには修学旅行生が
毎日のようにうごめいている。
各々が一生に一度の思い出作りに
胸を膨らませ、楽しそうに笑顔を振りまいている。
彼らを見ていると当時の私達の修学旅行を
思い出す。
私達は長野県の小丸山スキー場というところへ
スキー合宿に行った。
われら2年3組はふすまを取っ払うと大広間になる
部屋にクラスのうちおよそ20名が押し込まれた。
初日の夜、テレビでエマニエル婦人が放送されていた。
それを20人近い高校男子が一同に釘付けになった。
家にいたんじゃ親の目があるため本来なら
見ることの出来ない番組だ。
あぁ、修学旅行に来てよかった。
と誰もが思っていた。
今思えばあの集中力は、後にも先にも無いくらいの
すさまじいものだった。
誰一人私語をするものも無く、身動きもせず
エマニエル婦人が裸になるのを固唾を呑んで
待った。ただひたすら待った。
待ちに待った甲斐もあり、全員がエマニエル婦人の
裸体を堪能した。
人目が気になるため、それぞれは膨らみつつある
股間を、じっと耐えて平静を装った。
ところが、そんな中、I君だけは堂々としていた。
膨らんだ股間を隠すことなく、いや~すごかった、
などと感想を述べていた。
面白がった友人が彼の膨らんだ股間を写真に
収めようとした。
さすがにそれは恥ずかしかったのか
彼は顔を隠した。
後日、小倉に戻って来て、現像した写真を
クラスで回したとき、驚愕の事実が
発見された。
確かに顔は隠れているのだが着ていた体操服の
ズボンにはっきりと彼の名前が刺繍されていたのだ。
彼以外の男子全員がその写真を購入した。
このことで我々の一生の思い出に
彼の股間が深く刻まれた。
いや~映画って本当にいいものですね。
ワカサユエ
合掌