138発目 火に油を注ぐ話。


火に油を注ぐ

目が覚めたら、窓から燦燦と
日が差し込んでいた。

のっそりと起きだしたボクは
階段を下りながら
今日は何曜日だっけと
ぼんやりと考えていた。

14歳、中学2年生の冬だ。

リビングのドアを開け
おーい母ちゃんと声をかける。

静まり返ったリビングを
見渡すと人影がない。
あれ?と思うが考え直す。

そうか、寝坊したのか。

時計を見ると11時を指している。
もうだめだ。急いでも遅刻だな。

着替えを済ませ学校に向かう。
正門のところには人影はない。
ホッとする。先生に見つかると
うるさいからな。

下駄箱で上靴に履き替え
教室へ続く廊下を歩く。

後ろから声をかけられ
ハッと振り向く。

『お前、何時やと思っとうとや?』

学年主任の恐い先生だ。
職員室へ来いとの事だ。
しかたなく後に従う。

職員室で立たされたボクは
先生の前でしおらしくする。
先生は怒りで顔を真っ赤にしている。

『世の中には2種類の人間がおる。

遅刻するヤツとそうでないヤツや』

なるほどごもっともです。

尚も私の所業をネチネチと注意する。
大体お前は。そもそもお前は。

早く終わらないかなと思いながら
先生の顔を見下ろすと、怒りは
まだまだ収まってないようだ。

うんざりだ!という顔をした瞬間、

『なんや!言いたいことがあるとや!!』

と一喝された。

許してもらおうと思い、良いことを
言おうとしたのが間違いだった。

『先生。世の中には2種類の人間がいます。』

『ほお、なんや』

『遅刻をするヤツとソレを許すヤツです』

この一言で火に油を注いでしまった。

結局私は大人になっても
余計な一言で誰かを怒らせてばかりいる。

冗談なんだから。

ユルシテネ

合掌

“138発目 火に油を注ぐ話。” への2件の返信

  1. 学生時代に言ってみたかったなぁ……(笑)
    これでも、先生に怒られたこと、ほとんど無いんですよ♪

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