749発目 甘く見てたら全然甘くなかった話。


福岡の出来事

最近の言葉の乱れには
辟易とする。

その名前も分からないスイーツを
若い男の子が二人で食べていた。

二人はまるでカップルのように
50センチ四方くらいの小さな
テーブルのこっちと向こうに座り
額を寄せ合うようにしながら
その名前も分からないスイーツの
写真を撮った。

それぞれの前に置かれた
その名前も分からないスイーツは
色違いにも見えた。

 

ワタシから見て背を向けている彼の
その名前も分からないスイーツは
全体的に白く、ふわふわしたような
ものに見える。

その向こう、こちらに顔を
見せている方の彼の、その名前も
分からないスイーツは見えない。

 

背を向けている彼が一口ほおばった。

 

『うわ!すげえ』

 

『どしたどした?』

 

『秒殺で溶けた。』

 

・・・・・?

 

秒殺で?
溶けた?

 

びょう-さつ【秒殺】

格闘技などで試合開始直後に
相手を倒すこと

 

つまり?

 

彼はスイーツを食べることを
格闘技と捉えているのか?

 

そしてその名前も分からない
スイーツを試合開始直後に倒し
溶けた、と?

 

いや。
そうじゃないことくらい
ワタシだって分かっている。

『一瞬で溶けた』

と言いたかったのだろう。

きっと言い間違えたんだ。

 

彼は尚も続けた。

『まるでクモみたいな触感やね』

 

ああ。

 

ワタシの口からは
もはや嘆息しか出ない。

 

仮に彼の発した『クモ』が
大方の予想通り『雲』だとしたら
その喩えは正しくはない。

 

雲とは水蒸気だ。

触感なんてない。

 

百歩譲って、その『クモ』が
『蜘蛛』だったとしたならば
それはそれで、突っ込まなきゃ
ならないことがたくさんある。

 

『蜘蛛食べたことあるんかい!』

とか

『想像しにくいわ!』

とか

『まずそうやろが!
店に謝れ!』

とか

『男同士で気色悪い』

とか

『そのスイーツの名前
教えろや!』

 

などだ。

 

店員が近づいてきて
ワタシにコーヒーのお代わりを
薦めてきた。

貰うついでに小さな声で
店員に尋ねた。

 

『あそこのテーブルの彼が
食べているのは何てヤツでしょうか?』

 

店員はとても美しい笑顔で
メニューを開き指さした。

『こちらでございます。
お召し上がりになられますか?』

彼女が指さした場所を見る。

 

ふわふわオムレツ

 

え?

 

あ。

 

オムレツ?

 

スイーツじゃなかったのね。

 

オイサンノカンチガイ

 

合掌

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