124発目 その人の過去の話 二夜目


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チャールズ・エドワード・アンダーソン・ベリー。
チャックベリーの愛称で親しまれた
彼の本名だ。
ロックンロールの創始者と言われる彼を
ジョンレノンはこう表現した。

『ロックンロールに別の名前を
与えるとするのなら、それは
チャックベリーだ』

彼の名曲『No particular place to Go』
を聞きながら車に乗っていたからか
その時の私は、まさに
『特に行くあてはない』状態だった。

その日は仕事も休みで
しかも平日で午前中はちょっと
現場に出たりしたもんだから
誰とも会う約束はしてなかった。
あてもなく新宿まで出てきて
本屋でも行くかと、区役所の近くの
コインパーキングに車を停めた。

区役所通りの1本東側にある
花園神社から見覚えのある人が
出てきた。

チャックベリーはその昔、メキシコで
見つけた17歳の少女を売春目的で
連れ回し投獄された経験がある。
その逸話を思い出したのは
車で聞いていたロックンロールの
せいではなく、その見覚えある人が
高校生くらいの女の子を連れていたからだ。

『あっ、ヤマシタさん。ちょうど良かった』

六本木のクラブ経営者は親しげに
話しかけてきた。
確か以前飲んだ時に、私は北九州出身だから
電車の乗り方がよくわからないので
どこに行くのも車だという話をしたことがある。
案の定、彼はその話を覚えていて
『車どこに停めた?』と聞いてきた。
横浜まで連れて行って欲しいんだ。と

まあ、用事もないのでいいですよと
車を取りに戻る。彼らもついてくる。
車を走らせ明治通りから渋谷へ向かう。
その途中に思い切って聞いてみた。
『何ですかその女の子?』
『あ?やっぱり気になる?
気にしなくてもいいよ
親戚の子だよ』
出た!親戚の子。絶対嘘だ。

嫌な予感?いいえ、ほぼ嫌な確信があった。

横浜に着くまでクラブ経営者は
ずっと何の役にも立たない話を
してくれたせいで、眠くはならなかったが
とにかくバックミラーに映る女の子が
気になった。

『ああ、ここ、ここ。ここでいいや』
どうやら目的の場所に着いたらしい。
『ちょと待ってて。この子置いて戻ってきたら
お礼に寿司でも食いに行こうぜ』
ん?どうゆうことだ?
女の子はゆっくりと車を降りると
『おじさんありがとう。お兄ちゃんに
よろしく。』とお辞儀した。

え?あれ?売春じゃないの?

当惑する私を運転席に促し
東京に戻ろうと経営者はつぶやいた。

混乱する私を面白そうに見ながら
『悪い想像してたでしょ?ははは』と
からかうように笑う。
『説明してください』
そう懇願する私に経営者は笑いながら
こう説明してくれた。

『うちの店の上にさぁ、花屋があんじゃん?
あそこの店員のお兄さん見たことある?
彼の妹だよ。俺は若い時から彼のこと
知っててさ。俺よりちょっと年下だけど
色々世話になってたんだ。で、今日
妹を新宿から連れ戻して欲しいって
言われてさ』
どうやらキャッチバーではたらく
妹を説得して実家に戻す依頼を
受けてたらしい。

『でも妹だとしたらずいぶん年が
離れてますよね?親子くらいじゃないですか
あの人何歳ですか?ってゆうか社長も
何歳ですか?』
40過ぎだと思ってた社長と花屋のKさんは
実は33と31で私の5つ6つ上だった。

そうかKさんは31歳か。
あぁ、いろいろ聞きたいことがある。
でも社長に聞くとKさんの耳にも入るよな。
でもひとつ情報を得たからいいか。と
Kさんへの興味を深める私だった。

まさかあんな事件に巻き込まれるとは
この時点でも、まだ予想だにしなかった。

ジカイ、カンドウノ ラスト

合掌

 

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チャックベリー

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