125発目 その人の過去の話 三夜目


舞台IMG_1606

小伝馬町の駅を降りて信号待ちをしていたら
若い女の子に声をかけられた。
『先日はありがとうございました』
あの時、横浜に送り届けた子だ。
『兄の新しい店に行くんです。
良かったら一緒に行きませんか?』

Kさんに興味があったので
私はその提案に乗った。
店に行くまでに少しでも
Kさんの情報を得ようと
彼女に尋ねてみる。

両親を一度に亡くし、祖父母がやっていた
花屋を兄が継いだ。
六本木のビルは祖父の所有で
銀座にもビルを所有している大金持ちだそうだ。
兄はよくヤクザに間違われるとも言っていた。

えっ?ヤクザじゃないの?
そう言うと妹はカラカラと笑って
違いますよ。見た目は怖いけど。
と返してくる。
なんだ、じゃあ、ビビって3万円もする蘭なんか
買わなくても良かったんだ。
と少し後悔した。

でも本当かな?心の底で
少し疑っていたのは事実だ。

程なくしてKさんの新しいお店についた。
やあ、と片手をあげて笑顔をこちらに向けるKさんは
ヤクザにしか見えない。

コーヒーをおごりますよ、と
コンビニに誘った。
Kさんが妹を送ってくれたお礼ですと言って
支払いをしようとするので
私はお言葉に甘えた。

コーヒー以外にもパンや

雑誌などを買い足すKさん。

レジに向かう。
店員が申し訳なさそうに値段を告げる。
『893円です』
耳を疑った。ヤクザやん!
さらに驚いたのはその後だ。
1003円を差し出したKさんの
お釣りは110円!
なんと、110番じゃないか。

長々と引っ張ったこの話の結末は
こんなもんだ。

ハードルはあげない方がいいな。

ヤクザノKサンニササグ

合掌

“125発目 その人の過去の話 三夜目” への2件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*