725発目 あなたに必要なのはウンコなのかという話。


福岡の出来事

よく晴れた朝だった。

 

いつも見かけるあいつが

今朝は見当たらない。

 

事務員に聞くと、

出社前に病院へ

寄って来ると

連絡がありましたとのこと。

 

上司である私ではなく

事務員に電話して

それで良いと

思っているところが

奴らしい。

 

どこか悪いんかね?

 

興味はないが聞いてみる。

事務員は知らない、と

首を横に振る。

 

 

横から、彼の1年後輩が

私たちの会話に気がつき

教えてくれた。

 

 

『こないだの

健康診断で

再検査を言われた

みたいです。』

 

 

なるほど。

 

どうりで昨日の夕方も

ピンピンしてたはずだ。

 

まあ、奴がいないから

と言って

仕事全体に支障は出ない。

 

そもそもいないものとして

業務に取り掛かろう。

 

我々は、いつもと

同じように朝礼をし、

業務に取り掛かった。

 

11時を少し過ぎた頃

奴がやって来た。

 

周囲の何人かは

『おそよう』

と、からかっている。

 

おはよう、ではなく

遅いからおそよう。

 

面白くはない。

 

 

奴は私の席に来て

頭を下げた。

 

『この場合は

おそようって

言った方がいいんすかね?』

 

私は無表情で返した。

 

こんにちは

 

奴は真面目な顔で

 

『あ!そっか。

こんにちは、か!

ですね』

 

と納得していた。

 

で?

 

私はその先を促す。

 

『ああ、実は病院に

寄ってから

来たんすけど・・』

 

それは知ってる。

 

『まじすか?

え~っとですね。

前回の検診で

血糖値が高いって言われて

再検査だったんすよ。』

 

若いのに。

 

『で、今日ですね

紹介してもらった

病院に行って来たら

糖尿病の1歩手前で

やばいらしいんす。』

 

じゃあ食事を制限するんか?

 

『いや、もう1歩進んだら

食事制限らしいんすけど

今のところはまだ。』

 

1歩進んだら

糖尿病やろがい!

 

『生活習慣病なんで

規則正しい生活が

必須らしいんす。

・・・で。』

 

で?

 

『毎日適度な

ウンコをしろと』

 

ウンコ?

 

『適度なウンコって

どれくらい出せば

いいんですかね?』

 

奴は両手で水を掬うような

ジェスチャーを

やってみせた。

 

 

適度な量のウンコ?

 

分からん。

 

『で、聞き間違いかと

思って』

 

ああ、そうだね。

 

お前の場合はその可能性が

充分にあるね。

 

『も1回、聞いてみたんす。

そしたら、毎日適度な量の

ウンコをしなさいって』

 

ホント?

 

『で、俺も聞いたんすよ。

適度な量って

どれくらいですか?って』

 

40グラムくらいか?

 

『30分ですって』

 

時間?

 

 

時間なの?

 

 

ウンコの適度って

時間なの?

 

私はなんだか疲れてきたし

奴が糖尿病になっても

いいや、って気になったので

もういいから仕事に戻れ

と指示をした。

 

 

なんだか朝から疲れるなぁ

と思ってたら

事務員が近づいてきて

耳打ちしてくれた。

 

 

『さっきの、彼の話。

聞こえてきたんですが

多分、運動、と

聞き間違えてますね。』

 

なるほど。

 

運動とウンコかぁ。

 

似てる。。。。。。

 

似てないわ!

 

 

面白いから

しばらく彼には

そのことを言わないように。

 

我々はこれから

数か月の間

一生懸命、毎日30分間

ウンコをして、そして

見事に糖尿病にかかる男の

経過を見るという

楽しみが増えたのであった。

 

そして次の日。

 

始業の時間が近づいても

奴がやって来ない。

 

また検査か?

 

事務員は無言で首を

横に振る。

 

『多分ウンコしてんすよ』

 

奴は30分のウンコという

免罪符を手に入れたのだ。

 

 

私はそっと事務員に

撤回をする。

 

昨日のあれ、やっぱ

あいつに教えてあげて。

 

お前に必要なのは
ウンコじゃなく
運動だよって

 

バカニツケルクスリハナイ

 

合掌

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