昼下がりの横浜駅西口は
いつもと変わらぬ喧噪で
人の多さもさることながら
騒音もそれなりだった。
高島屋とジョイナスの間を
抜けてくる通路の
端っこに年配の男性が
2人立っていた。
背の低いおじさんが
もう一人の白髪のおじさんに
何やら話しかけている。
白髪親父の方は
きっと耳が遠いのだろう、
チビ親父は少し
背伸びするように
口元を白髪親父の
耳に近づけていた。
チビ親父は背伸びを
したために不安定になり
少しよろける。
とっさに白髪親父の
右の肩をつかんだ。
いま、こんな感じに
なっている。
で、白髪親父の方は
それでも、まだ聞こえない
と言いたげに顔をしかめている。
そりゃそうだ。
チビ親父は右から
話しかけてるのに
白髪親父は左手を
左耳にかざしてるんだもん。
そっちじゃないよ!
教えてあげようと思い
2人に近づいた。
チビ親父の口元をみると
前歯が1本もなかった。
聞こえない理由は
そっちだったのか!
ドッチモドッチ
合掌