667発目 個人情報の話。


平成15年に制定された
「個人情報の保護に関する法律」
をご存知だろうか?

もちろん知っているだろう。

一般的には「個人情報保護法」
と略されて
(たいして略されてはいないが)
呼ばれている。

法の制定に基づき
通産省が先導し
プライバシーマーク制度を
創設した。

元々は行政機関が取り扱う
個人情報についての法律だったが、
この平成15年の改定で
民間企業にも波及し、
そして消費者が見ても分かるように
プライバシーマークという
JIS規格を創設したのだ。

近年はインターネットを使った
個人情報の流出が
騒がれる事件もあるが、
それでも20年前に比べると
圧倒的に個人情報の取扱に関する
個人の意識も向上したと
言えるのではないだろうか。

おい、
ヤマシタどうした?
小難しいぞ。。

そんな声が聞こえてきそうだ。

そう、その通り。

今宵のヤマシタは

ちょっと小難しいぞ。

何故か?

その答えは、
西武新宿線にあった。

個人が他人の個人情報を
軽々しく扱うと、
こんなにも恐ろしい
事件が待っている!
と警鐘を鳴らしたい。

昼下がりの西武新宿線は
ガラガラだった。

JR山手線の高田馬場で
西武新宿線に
乗り換えたヤマシタは、
まさか座れるとは
思ってもいなかった。

出入り口にもっとも近い位置に座った
ヤマシタの隣には
年配の女性が二人座っていた。

ヤマシタはこの電車で
小平まで行くつもりだった。
急行電車だと
20分強で到着するのだが、
あいにく、次の急行を待つよりも
この鈍行列車に乗った方が早い
というタイミングの悪さだった。

ちなみに鈍行列車だと
倍の40分近くかかる。

ヤマシタの隣に座った
年配の女性二人が、
座るや否や話し始めた。

ガラガラの車内で
そんな声のトーンだと、
聞きたくなくても
会話の内容が聞こえて来る。

「じゃあ、同窓会には
その初恋の彼は来てたの?」

「そうなのよ!
卒業以来だから45年ぶりかしら?
とってもダンディーだったわぁ。」

「普通は歳とって
がっかりするもんだけどね。」

「とっても良い歳の
取りかたをしてたと思うわ。」

卒業して45年ってことは
45+18=63
年配の女性あらため
63歳の女性。

初恋は高校生。

「ニューオータニからだと
赤坂見附が一番近いんだけど、
彼は四谷まで歩くって
言うから付き合って
一緒に歩いたの。
そしたら途中で雨が降ってきて、
相合傘しちゃったのよ」

「何よ~、少女じゃ~ん!」

同窓会が行われたのは
ホテルニューオータニ

「でさ、ほら短大のサークルで
一緒だったミッコって覚えてる?」

「覚えてるわよ~、
あの意地悪な子でしょ?」

「そう。私さ、
ミッコと高校が一緒だったの。」

「え?じゃあ同窓会に来てたの?」

「そうよ~。来てたの~。
もうホントに同級生?
ってくらい老け込んでてさ。」

「え~?何があったのかしら?」

「なんだか、旦那さんの方の
お母さんを引き取って
介護してんだって。

で、旦那さんが4年位前に
脳梗塞で亡くなっちゃって、
しかも旦那さんって
一人っ子だったから
そのお母さんの
引き取り手がないらしくて、
仕方なくミッコが
今も同居して
面倒見てるんだって。」

「大変じゃん!
そりゃあ老けちゃうわ。」

同級生のミッコ(性格悪い)
はみんなより老けている。

「で、あれらしいわよ、
死後離婚って言うの?
あれするらしいわよ。」

「なにそれ?初めて聞いた。」

「死んだ後に離婚して、
財産分与するらしいの。」

「え?じゃあ
旦那さんのお母さんは?」

「離婚が成立したら
面倒見なくていいんだって。
せいせいするわって言ってた。」

「あいかわらず、
鬼みたいな性格してるわね。」

ミッコは鬼。

「で、もっと驚いたのが、
ミッコね、
花小金井に住んでるんだって!」

「え~!となりの駅じゃ~ん。」

「今度会おうよって言われてさ。」

「ま、ちょっと会ってみたいわね。」

ミッコは花小金井在住。

「あら、じゃあ、
あなた電話してみる?ミッコに。」

「そうね、番号教えてくれる?」

「090の4482の〇〇△◇」

ミッコの電話番号は
090の4482の〇〇△◇。

「それにしてもアヤコ、
あなた全然太らないわよね」

「ダイエットしたのよ。
だって初恋の人に
会えるんですもの」

「今、何キロ?」

「42キロ」

アヤコの体重は42キロ。

「タカヒロ君も
高校のときと全然変わらないね
って言ってくれたの。
あ、タカヒロ君ってのは
その初恋の人ね。」

「どうでもいいわよ名前なんて。
しかしいいわよねぇアヤコは。
そのタカヒロ君と
やけぼっくいに
火をつけるんじゃない?」

「今度さぁ、
食事に行く約束しちゃった。」

「ホントに!やあだ。」

アヤコ(63歳)は
タカヒロ(63歳)と
食事に行く。

「浮気じゃん。」

「いいのよ、
こうなったら熟年離婚でも。
チカコだって離婚したの
最近じゃん。」

もう一人は
チカコ(63歳)
バツイチ

「最近って。もう10年以上前よ。」

「じゃあ、
今度ミッコも誘って
食事に行きましょうよ。
意外とそんときは
全員独身かもね。」

ミッコ 死後離婚

アヤコ 熟年離婚

チカコ 普通の離婚

こうして高田馬場から
小平までの40分間で
この二人の女性の
情報は丸裸にされたのだ。

しかし、なんだな。

個人情報って、
そんなに保護しなくても
いいんじゃね?

知られたところで
そんなに困んねえな。

ヨノナカリコンダラケ

合掌

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