かんよう【寛容】
(失敗などをとがめだてしないで)
他のいい面を積極的に
認めようとする様子。
少し前から髪型を左右対称にしない髪型のことを「アシンメトリー」とかって呼ぶようになった、ということくらいは知っていた。それが格好良いのかどうかは別として、そういう髪型は若者に多いのではないだろうか? 年配の人たちは、「おかしな髪型をしやがって」と嘆いていたが、私に言わせればそもそも七三分けだって大きくジャンル分けすれば「アシンメトリー」じゃないか!とも思う。
それよりも、横の部分の髪の毛を無理やり頭頂部に持ってきて薄くなった部分を隠している、あの所謂「バーコード」と呼ばれる髪形にこそ、「おかしな髪型をしやがって」と苦言を呈すべきではないのか?
自分の若い頃を思い出してみる。 中学生くらいの頃だ。 あの頃もやはり若者、つまり私たちがしていたファッションは年配の人たちには受け入れてもらえなかったと思う。 やれ、そんな太い学生ズボンを履くな!とか、腰まで下げずにちゃんと履け!とか、靴のかかとを折って履くな!とか、それはそれはファッションに対する注意を散々受けた。
だから大人になった今、若者のファッションを否定したりするのはやめようと思う。
だが、しかし。
そうは言っても、なんじゃそれ?というファッションを見ると首を傾げざるを得ない。 目の前にいる若者のファッションがそうだった。
右と左で違う色のスニーカーを履いているのだ。 大きな声で携帯電話で話している姿は、それだけで傍若無人を絵に描いたような、人目を惹く存在であるのに、靴が左右で違う色って、いったいどうなの?
意地悪な性格の私は、若者が電話を切るのを見計らって話しかけた。
「お兄ちゃん、その靴、間違うとるよ」
若者は、明らかに「うっとうしいオッサンやのう!」という表情で振り向き、そして自分の靴を見た。
「あ、ホントだ!恥ずかし!」
なんと!
本当に間違っていたのか。 みるみる顔を赤らめていく若者は私の足元を見て、こう言った。
「お兄さんも間違ってますよ。」
私は自分の足元を確認した。
確かに、黒い革靴であるが微妙にデザインが違う。 私は靴を脱ぎ中敷のブランドロゴを確認した。
「あ、ホントだ!恥ずかし!」
今度はそのセリフを私が言う番だった。
「これはこれでファッションだって言い張りましょうよ。」
私は実に数年ぶりに若者の意見を受け入れた。
ア~ハズカシ
合掌