485発目 訂正せずにいられない話。


liner_notes3

隣に人の気配を感じたので

思わず息を潜めてしまった。

 

別に悪いことをしているわけでは

ないので堂々とすればいいのに

条件反射というのだろうか?

肩まで竦めてしまっている。

 

がちゃりがちゃりと扉が開く。

乱暴に閉じられた扉に

またもやがちゃりと施錠の音が。

 

隣に私がいることに

気がついていないのだろうか?

それともよっぽど気分が

高揚しているのか?

見知らぬ隣人は鼻歌を

歌いだした。

 

ああ、なんだっけ?

この曲?

 

見知らぬ隣人のテンションが

上がってきたようだ。

イントロ部分は鼻歌だったのに

いきなりはっきりと歌いだした。

 

~well you’re dirty and sweet ~

 

え~?

何やったっけ?この曲~。

絶対知っとる曲や~ん。

多分、CD持っとるや~ん!

 

ダメだ、全然思い出せないし

いくら考えても出て来ない気がする。

 

そうこうしてたら、隣から

カラカラカラカラと音がしだした。

 

ああ!

いかん!

ケツ拭きだしたや~ん!

もう終わると~?

 

オレより後に来たくせに~。

 

ちくしょう。

オレも途中やけど

ここで一旦、終わろう。

 

カラカラカラカラ

 

ジャー。

 

がちゃんがちゃん。

 

二人はほぼ同時に

扉を開いた。

 

一瞬目が合う。

 

違う。話しかけるのは

ココじゃない。

 

並んで洗面台に立つ。

 

手を洗う。

 

上を向く。

 

鏡越しに目が合った。

 

ココだ!

 

 

『あの、すみません。

さっきの曲なんでしたっけ?』

 

『あ、聞こえてました?』

 

『はい。』

 

『Get It On ですよ。』

 

あ~~~~!

そうや~ん!

 

『デュランデュランの。』

 

ん?

 

『いや、デュランデュラン

じゃ無いですよね?』

 

『いえ、デュランデュランですよ。』

 

『失礼ですけどおいくつですか?』

 

『37ですけど。』

 

37かぁ。

37なら知らんかぁ。

 

『あの、T-rex ってご存知?』

 

『いいえ、それが何か?』

 

『いや、Get It On って

T-rexの曲なんですよ。』

 

『あ、そうなんすか?

あ、急いでるんで、これで。』

 

あ~逃げられた。

 

変な人と思われただろうなぁ。

 

でもさ。

 

T-rexのGet It Onを

カヴァーしてたのは

デュランデュランじゃなくって

パワーステーションなんだよなぁ。

 

少しずれてるなぁ。

 

良い子のみんなは

Get It On は T-rex

って覚えてね。

 

ドッチデモイイッテ?

 

合掌

 

ちなみにコレがオリジナル。

 

 

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