478発目 シルバーウィークの話。


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私が10代の頃は今みたいに

インターネットなど無く、

もちろん携帯電話すらなかった。

もっと言えばコードレスホンの

存在すら信じられなくて

友人宅で初めてそれを見たときは

『トランシーバーやん!』

と言ったくらいだ。

田舎だったからではなく、

そうゆう時代だったんだろう。

だからと言う訳ではないが

その頃の私を含めた少年達は純粋だった。

 

しかし、とは言え今みたいにイジメも

あったし、少年犯罪もたくさんあった。

 

では、何が純粋なのかといえば

それは恐らく 『エロ』 に対しての

姿勢というか、志 ではなかろうか?

 

つまり。

 

女性の裸という素材が今みたいに

簡単に手に入らない時代だったんだ。

 

だが、見たい。

 

とても、とても、とても

 

見たい。

 

だから、私を含めた少年達は

『素材』を共有することを始めた。

 

『素材』は、エロ本やアダルトビデオ

などの媒体がほとんどだったが、

少年達が最も欲しがったのは

生の裸体だった。

 

見たい。

 

とても、とても、とても

 

見たい。

 

 

夏休みが終わり

2学期を迎えた少年達に

朗報が持ち込まれた。

 

北九州から遠く離れた

大分県のとある半島に

キャンプ場がある。

 

キャンプ場に隣接している

ホテルには温泉もあって

宿泊客以外も使える、らしい。

 

エロに純粋な少年達に

普通のキャンプ場情報じゃないか!

とでも言いたいか?

 

まあ、落ち着け。

 

本題はここからだ。

 

海のそばにあるキャンプ場は

砂浜を沿うように芝生が

植えてあり、ホテルに

近づくにつれて

小高く丘のようになる。

 

通常、キャンパー達は

平坦なところにテントを張る。

そのため、ホテル近くの

その小高い丘には

人っ子一人いない、らしい。

 

そして、その丘から。

なんと。

 

女湯がのぞける、らしい。

 

情報をもたらした少年の

名誉のため名前は伏せておくが

夏休みに家族とキャンプに

行った際に見つけたんだそうだ。

 

私と仲の良い友人数人は

早速旅の準備をした。

9月の下旬には連休がある。

その連休は大分へ向かうんだ!

 

純粋なエロに対する

前向きな姿勢が少年達を

突き動かした。

 

やがて連休初日を迎えた。

朝早く起きて母親に

3日ほど帰ってこないが

心配するなと書置きを残し、

小倉駅へ向かった。

 

友人は既に来ており

切符を購入していてくれた。

 

博多から来た特急電車は

小倉駅で向きを変え

一路、宮崎を目指す。

 

特急にちりんで杵築駅までは

およそ2時間の旅だ。

杵築駅からはバスが出ていた。

 

小倉駅を出発し、3時間後。

我々は目的地に到着していた。

時計を見ると午前9時だった。

 

『こんな朝っぱらから

風呂に入っちょるヤツが

おるんか?』

 

『アホかお前、旅の開放感を

なめんなよ!

普段できんことをやるのが

旅の醍醐味やろが!

絶対、朝風呂しよるヤツはおる。』

 

友人の強く説得力のある言葉に

気おされながら我々は

ピーピングポイント、つまり

小高い丘を探した。

 

その丘は割りとすぐに見つかった。

 

そしてその丘の上に寝そべった。

 

『見える!見えるぞ!』

 

情報どおりだった。

 

だが、ここで一つ問題が生じた。

 

時間が時間だけに

丘に寝そべる我々の姿は

周囲に丸見えだった。

 

我々は仕方なく日が暮れるのを

じっと待った。

 

 

そしてようやく夜を迎えた。

そっと、丘の上にのぼり、

音も立てずにねそべる。

 

遠からず近からずの位置に

女風呂がある。

 

ぼんやりとではあるが

そこには十数名分の

裸体があった。

 

声を押し殺して歓喜する。

 

十分に裸体を堪能した我々は

日中の暑さと興奮のせいで

汗びっしょりになっていた。

 

よし、オレ達も風呂に入ろう。

 

ホテルへ向かうあいだも

少年達は浮き足立っていたし、

股間も立っていた。

 

いや~よかったな。

明日も来ようぜ。

 

などと言っている。

 

ホテルの入り口に張り紙が

してあった。

 

『本日は日田市老人会の

貸切のため、日帰り入浴のお客様は

20時からのご案内になります。』

 

少年達は目を疑った。

 

『老人会・・・・』

 

先ほど堪能した裸体は

すべて老人だったのか。

 

少年達は翌朝、始発で

小倉に帰った。

 

暑い暑い夏がこうして

終わりを告げた。

 

あれから30余年。

9月が来ると毎年、

この出来事を思い出す。

 

今年からはシルバーウィークと

言うらしいな。

 

ネーミングが年寄りを

連想させるじゃねぇか!

 

ロウジンヲイタワロウ

 

合掌

 

 

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