403発目 男女の違いの話。


ライナーノーツ

考え事をしながら廊下を

進んでいた。

 

人気のない廊下だ。

 

しんと静まり返ってる。

 

ここは札幌市中央区にある

サッポロファクトリーという

商業施設だ。

 

もともとはサッポロビールの

工場があったらしい。

 

1条館の東の端にトイレが

あると表示板が出ていた。

 

念のためオシッコしとこう

と無人の廊下を進んでいた。

 

え~っと、この後はあそこに

行って、その後はあそこに

寄ってそして帰る、と

その後の予定を頭の中で

反芻しながら歩いている。

 

ぼんやりとうつむき加減で

足元を見ながら歩いていた。

 

トイレの入り口で中から

出て来た女性とぶつかった。

 

『あっ!すみません!』

 

間違って女性トイレに

入ってしまった!

 

慌ててきびすを返し

トイレの外へ出る。

 

隣のトイレに入ろうとし、

入り口の上のプレートを

確認する。

 

あれ?こっちが女性トイレだ。

 

振り返り、先ほどの

トイレのプレートを見る。

 

男性トイレだ。

 

なんだよ、俺間違ってないやん。

 

中から先ほどの女性が

顔を赤らめながら出てきて

私を見ながらぺこりと

頭を下げた。

若い女性だ。

 

髪の毛は栗毛色で

肌は透き通るように白く

ベージュの落ち着いた色の

ワンピースを着ている。

 

美人と呼んでも

おかしくないだろう。

 

『ごめんなさい。』

 

消え入るような声で

彼女は私にもう一度

頭を下げた。

 

戸惑いながらも、

彼女の恥ずかしさを

少しでも和らげてあげようと

私は笑顔でこう答えた。

 

 

『びっくりした~

ボクが間違ったかと

思いましたよ。』

 

何故私がこんなに

愛想よくしたかというと

彼女が美人だからだ。

 

だが彼女は尚も恥ずかしそうに

言葉を続けた。

 

『すみません、ボク男なんです。』

 

そう言うと彼女は、いや彼は

走って行ってしまった。

 

?????

 

おかま?

 

女装?

 

私は無人の廊下で

地団太を踏みながら

こう叫んだ。

 

『お、お、お、男かい!』

 

 

 

デモビジンダッタ

 

合掌

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