いやぁ、聞いてくださいよ。
こないだね、高速道路を
走ってたんですよ。
ええ、車で。
そんでね、助手席に後輩を
乗せてて、え? ああ。
ボクの車だったんで
ボクが運転してました。
いや、そんでね、
旭川から札幌に帰ってる途中で
もうね真っ暗なんですよ。
街灯もないし、ヘッドライトだけが
頼りの暗い道で、
ほんならパッと前方にね
ベージュのヒラヒラしたものが
見えたんで、隣の後輩に
『なんや、あれ?』
って聞いたらソイツが
『バスタオルじゃないっすか?』
って言うんですよ。
ま、そうか、と。
バスタオルに見えんことも
ないな、と。
ま、結構スピード出してたんで
避けずに踏んづけたんですよ。
ほんなら、左のタイヤで
踏んだんですけど
もうね、ボスコ~ンって
乗り上げちゃって。
ほんで、何や何や!って
なって、隣の後輩は衝撃で
天井に頭ぶつけて
『首痛い、首痛い!』
っつって。
『何なん?今の何なん?』
『いや、多分、キツネか
何かちゃいますか?』と。
ほんで、ボクね、もうキィーって
なって気色悪くて
『忘れたい、忘れたい!
なんか気が紛れる話して!
たたられる!』
って後輩に言ったんですよ。
そしたら、そいつ
『あ、じゃあ、ハーレーダビッドソン
の話しましょうか?』
って。
え?すぐ出てくるん?違う話。
すごいなお前ってなって。
『おお、それでいいわ。
話してくれ』
『いや、あのね、知ってます?
ハーレーダビッドソン?
地元の友達にね、
ハーレーダビッドソンって
言えないヤツがいるんですよ。』
は?どうゆうこと?
『いや、だから
ハーレーダビッドソンって
言えないんですよ。
あ、ハーレーダビッドソンの
ソンが言えないんです。』
どうゆうことなん?
『だぁかぁらぁ、』
いやちょっと待て、と。
何でちょっと切れとるん?と。
『ハーレーダビッドソンの
ソンですよ。』
と。
ほんで、意味が分からんから
『孫正義は言えるん?』
って聞いたら、
『ああ、説明不足でしたね。
ハーレーダビッドソンの
ソが言えないんです。』
と。
いやいやいや、
じゃあソバは言えるんか?
『いや、言ってますやん。
ハーレーダビッドソンって』
ほんでもうイライラしてきて
こっちもちょっと切れ気味に
『説明が足りんわ!
お前の説明書はペラ1枚か!
もっと分厚い説明書出せ!』
って言ったら
『え?何で分かんないんすか?
ハーレーダビッドソンっすよ。』
何回いうんじゃハーレーダビッドソンって
『いや、分かった。
ここは俺が一旦、折れるわ。』
っつって先を促したんですよ。
ほんならどうやら
ハーレーダビッドソンを
ハーレーダビッドスンって
言ってしまうんですって。
ほんで、それがどうしたんか?
と、ソバは言えて孫正義も言えて
ハーレーダビッドソンだけ
ハーレーダビッドスンになるんやろ?
そいつがどうしたんや?と。
『ソイツがこないだ、車を売って
ハーレーダビッドソンを
買ったんですよ。』
言えんのに?
ハーレーダビッドスンなのに?
『ええ、変わってるでしょ?
でもね、ソイツが買った
ハーレーダビッドソンは
ファットボーイってタイプ
らしいんですよ。』
ほほう。
『だからハーレーダビッドソン
って言えなくても大丈夫って。
ファットボーイって言えばいいから、
って言い張るんです。』
ああ、それなら理解できる。
『でもね、ソイツね
ファッボーイって言うんですよ。』
も~う。
トは?ト!
『なんかソイツ、小さい頃に
舌をやけどしてから
活舌が悪くなったらしくて』
そんな問題か?って。
ってゆうか逆に言いにくいやろ?
ファッボーイって。
まま、でもね、その変な話の
おかげですっかりベージュを
はねたことを忘れてたんですよ。
ほんで、札幌に着いて
高速降りてから、その後輩が
『あ!ヤマシタさん、メーター!』
って急に言い出して
なんやろ?って思って
メーター見たら給油ランプが
ペコペコついとったんですわ。
ほんで、ああ、こりゃまずいな、
ガソリン入れようってなって
すぐスタンドに入ったんですよ。
たまたまセルフのスタンドだったんで
寒いし嫌やなあ、と思いながら
後輩に1万円札渡して
ちょっと入れてきて、と。
はぁい分かりました!
とか言ってそいつが助手席から
降りたら
『うわぁ!』
っておらぶんすよ。
ああ、叫ぶって意味です。
そんでせっかく忘れてた
ベージュひき逃げ事件を
思い出してしまって・・・
『もう、何なん?お前、
せっかく忘れとったのに!!!!
何が付いとるか言うなよ!
黙ってふき取れ!』
って言ったんですよ。
そしたらソイツ。
『ヤマシタさん!!
うんこ付いてます。』
って。
もうね、ひゃ~ってなって。
『あ、ちょっとヤマシタ君、ごめん。
いったい、何の話?』
さあ?
ジブンデモワカリマセン
合掌