402発目 子供の苦悩の話。


犬

取引先から事務所に戻る途中、

北9条の小学校の前を通った。

 

ちょうど下校時間だったのか

子供達がわんさかいた。

 

赤信号で止まると

目の前の横断歩道を

子供達が通り過ぎていく。

 

一人だけ渡らずに

雪の玉を一心不乱に

道路に投げつけている

男の子がいた。

 

窓を開けて話しかけてみる。

 

『どうしたボク?

何かあったか?』

 

子供は私を振り返り

泣きそうな顔をして

 

『なんでもないよ』

 

と強がった。

 

『いいから話してみろって。』

 

『あのね、今日ね

習字の時間にね、

大っていう字を書いたんだ。』

 

ほうほうそれで?

 

『となりの席のタイセイくんが

ボクの書いた紙に点をつけて

ボクのだけ犬にしたんだ。』

 

そういうと彼は泣き出した。

 

そ、そんなに悔しいのか?

 

信号が青に変わったので

私は車を進めた。

 

バックミラーを見ると

雪で凍った歩道に

少年がひざまずき

おいおいと泣いていた。

 

大と犬そして少年。

 

泣くほどのことか?

 

フトイデモナイタノカ?

 

合掌

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