385発目 通じない話。


スローなブギにしてくれ

ほんのジョークのつもりが

相手を怒らせることはある。

 

こちらとしては気の利いた

ジョークだろう?ってな感じで

ヘラヘラしてたんだ。

でも、その辺の微妙な

ニュアンスっつうか

ノリみたいなものが

全く理解されなかったんだ。

 

 

『おい、ヤマシタ。

これ送っといて。』

 

そう言って俺の机の上に

無造作に封筒を置いたのは

俺より5つ上の先輩の

ホリ肉さんだった。

 

見ると封筒の上に

送り先の名刺も置いてた。

 

ま、俺も新入社員だったし

ここは気軽に受け入れよう

ってなもんで

『ウッス』

なんて軽く返事したんだ。

 

ホリ肉さんとは独身寮で

相部屋だったし気心は

知れていた。

 

俺の元を去り際に

念を押すようにこう言ったんだ。

 

『お前、このあいだ頼んだときさぁ。

御中って書かなかったろ?

今度はちゃんと書けよ。

失礼だから。』

 

なんだよ、文句かよ。

大体、オンチュウとか知らねぇよ。

 

いや、もちろん今は知ってるよ。

俺だって人並みの成長は

するんだからさ。

 

たださ、もうちょっとそのさ、

言い方ってもんがあるだろ?

 

『常識だぜ。』

 

とか言われるとさ、常識が

ないみたいやん。

ま、ジッサイないんだけどさ。

 

ただ、さすがの俺もちょっと

むかついたから

宛名のところに細工して

送ったんだ。

 

んでさ、二日後くらいだったかな?

 

寮の部屋でくつろいでたら

ホリ肉さんが帰ってきて

すっげぇ怒ってんの。

 

ドアをば~んって開けて

『ヤマシタてめぇ!』

っつって。

 

『どしたんすか?帰る早々。』

 

『どしたんすか?じゃねぇよ!』

 

随分怒ってるよ。

 

普段温和な人が怒ると

迫力あるね。

 

子犬相手に噛まないと思って

手を出したらガブって

やられる感じ?

 

もう顔を真っ赤に染めて

赤レンジャーかよ!って

突っ込みたくなったのを

かろうじて堪えたよ。

 

『お前、御中って書けっつったろ?』

 

ああ、あの件ね。

 

『あの送り先は大事な

取引先の部長だぞ!

なんでお前、なんでお前・・』

 

ああ、なんか息が切れてきたぞ。

 

ウーロン茶がぶ飲みしてるわ。

 

『なんでお前、want you って

書くんだよ!!!!!!!!』

 

そう言って俺の太ももを

ヒザで蹴り上げてくれたよ。

 

ったく。冗談の通じない人だ。

 

ボウリョクハンタイ

 

合掌

 

 

 

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