386発目 正しい日本語の話。


ライナーノーツ

これは苦言ではなく本当に

意味が分からなかった話だ。

 

ある夜のことだ。

 

仕事も終わり、じゃあ、今日は

飲みに行こうか!

ってことで事務所を出て

表を歩いていた。

 

さあ、どこに行こうか?と

会社の同僚と話している。

 

一人がある店の名前を

口に出した。

カキ食べ放題の店だ。

柿じゃないぞ。牡蛎だぞ。

 

私はその店の場所が

分からず尋ねた。

 

彼が口にした住所は

地下鉄の駅からも少し

歩くところらしい。

 

我々が現在いるところからも

最寄の地下鉄の駅まで

歩くと結構ある。

 

しかも雪が降り出した。

 

私は尚も尋ねる。

 

『タクシーの方がいいか?

それとも地下鉄の方が

安く済むか?』

 

すると彼はこう答えた。

 

『いや、微妙っすね。』

 

私と彼以外には他に二人

いたのだが、二人とも

そうだな、微妙だなと

言っている。

 

私だけだ。

 

私だけが意味が分からなかった。

 

どっちだ?

地下鉄かタクシーか?

微妙って何だ?

 

びみょう【微妙】

細かいところに美しさ・問題点
重要な意味などがあって、
単純な論評を許さない様子。

 

そんなに慎重にならねば

ならない質問ではなかろう?

 

例えば

『どっちもどっちですよ。』

とか

『時間的には変わらないが

料金的には地下鉄の方が

安い。ただしタクシー代を

4人で割れば一人あたりは

同じくらいだ。』

 

と答えてくれれば分かる。

 

だが微妙といわれても

ピンとこない。

ニュアンスが分からないんだ。

 

そう告げると

 

『うわぁ。面倒くせぇ。』

と言われてしまった。

 

そう言われても

本当に分からないのだ。

 

結局、タクシーで行き

事なきを得た。

 

食事を済ませいつもの

スナックに向かう途中

先ほどの彼が話しかけてきた。

 

『こないだ横についたあの子

気に入りましたか?』

 

今から行くスナックのホステスの

ことだ。

 

私は『ココだ!』と確信した。

 

意味を理解してないが

直感が働いた。

 

『うん。微妙だね。』

 

すると残った3人から

使い方が違うと言われた。

 

いいか。

 

よく聞け。

 

本来の使い方を

間違ってるのは

お前等のほうだぞ。

 

あまりにも恥ずかしかったので

私は彼等に指示を出した。

つまり腹いせだ。

 

今後は微妙禁止と。

 

俺の前で使うな!

お前等は言葉が乱れている!

と。

 

スナックに着き、ホステスを

交えて会話が弾んでいる。

 

隣に座る女の子が

私を不思議そうに見る。

 

『しゃーしいってどういう意味ですか?』

『なんかかるってどういう意味ですか?』

 

なんていうことだ。

 

若者の言葉が乱れていると

嘆く私の言葉が理解されないだなんて!!

 

何故だ!

方言だからかぁぁぁぁ。

 

ちくしょう。

 

こうなったら意地でも

方言は直さないぞ!

 

フータンヌルイヤツラメ

 

合掌

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