380発目 ミスが重なる話。


ライナーノーツ

高校生ともなると、

英語の授業が、数種類に

分類され、難易度が上がる。

 

皆、授業を真剣に聞き

必死でついていこうとする。

 

ボクらの受け持ちの

カンベティーチャーは、

女性教員だった。

 

彼女は皆から好かれ、

「先生」ではなく「ティーチャー」

と呼ばれる唯一の存在だった。

 

彼女はとにかく発音にこだわった。

 

ボク等が棒読みで教科書を

読むと、訂正された。

 

『テーブルじゃなくてテイボォウよ。』

 

ボクはそんな彼女が好きだったし

教師と教え子と言うよりも

身近なお姉さんって感じだった。

 

当時、10回クイズというのが

流行っていた。

 

ピザって10回言ってみて?

といい、最後に肘を指差し

ここは?と聞くとつられて

ヒザって答えさせるあれだ。

 

ボクはカンベティーチャーに

このクイズを出した。

 

カンベティーチャーは

とても良い発音で

 

『ピッツァ、ピッツァ、ピッツァ・・・』

 

と10回言った。

 

あら?

 

これひっかかるかいな?

 

と少々不安になりながら

続けて肘を指差すつもりが

間違ってヒザを指差した。

 

『ここは?』

 

カンベティーチャーは

不思議そうな顔でボクに

こう言った。

 

『ニー。』

 

あら?

 

カンベティーチャーはボクに

笑いながら、

 

『ホントはここを指差すんでしょ?』

 

と、人差し指を自分の肘に

向けた。

 

『ああ、そうかぁ。

間違った。』

 

でもね。

 

でもティーチャー。

 

もし間違わずにそうしたとしても

あなたはきっと

こう答えたんでしょ?

 

『エルボウ』

 

と。

 

英語の先生に出すクイズじゃ

ないと悟りましたとさ。

 

ミスガカサナッタ

 

合掌

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