355発目 思ったより少ない話。③


ライナーノーツ

『そうゆう時は全員が

集まるべきだろうが!』

 

ノブユキの主張はこうだった。

 

同期入社の全員で行った

ドライブだから、あの事故には

全員が責任がある。

だから、お詫びの食事会も

ゆうちゃんとキン以外の7人で

お金を出し合うべきだ。と。

えりちゃん一人のせいには

すべきではない。と。

 

だから私は残りの4人の意見も

聞いてみた。

 

ところが、トムとタカは良かったが

アトムとテツは拒否したんだ。

 

『どうしてそうなるんだよ!

俺たちは運転を代わることも

それをキンが承諾したことも

知らなかったんだぞ。』

 

『そうだよ、だから俺たちは

その食事会のお金を

払う必要はないと思うんだ。』

 

なるほど。

 

お金が絡む、とこんなに

意見が分かれるのね。

 

で、結局アトムとキツネを除く

7人で食事会をする事になった。

 

私は、二人が来ない理由を

用事があるからと言う事に

した。カドがたつといけないから。

 

食事会は楽しく過ごせた。

 

そもそも何で集まったんだっけ?

みたいな状況でもあった。

 

最終的にはお金の問題ではなく

えりちゃんの運転技術の問題だから

今度の休みに特訓しようという

ことにさえなった。

 

この時、私はこう思ったんだ。

同期っていいな。

大人になってからの

友達っていいな。

 

数ヵ月後、特訓の甲斐があって

えりちゃんは車の運転が

上手になった。

 

お祝いと言うわけでもないが

また、みんなでドライブに

行こうと言う話になり

同期の9人で休みの日に

日光東照宮に行く事になった。

 

あのとき、お食事会を

拒否したアトムとテツは

しばらくギクシャクしてたが

その頃には以前のような

仲に戻っており、今回も

参加表明はしていた。

 

実はアトムからは

『あのときは大人気なかった。』

と反省の弁は聞いていたので

みんなにも伝えていた。

 

ドライブ当日の朝。

 

車は3台用意した。

 

そのうちの1台は私のだった。

 

私は仕事以外で車を運転するのが

非常に嫌いで、その日も

出来れば誰かに運転して欲しいと

伝えていた。

 

じゃあ、オレがするよ!と

手を上げたのはテツだった。

 

ノブとキンの車もそれぞれ

えりちゃんとトムが運転し

目的地へ向かう事になった。

 

大宮から日光への最適ルートは

岩槻インターから東北自動車道で

北上し、途中の宇都宮から日光道路

を辿る、約2時間の行程だ。

 

埼玉県との県境に近い、羽生の

サービスエリアで最初の休憩を

取る事になった。

 

この時点で、私はまさか

あんなことが起きるとは

予想だにしなかった。

 

サービスエリアの喫煙スペースで

のんびりとタバコを吸いながら

鼻くそをほじっていたら

私たちが車を止めた

スペースに目が行った。

 

そこに広がるのは

信じられない光景だった。

 

ツヅクンデスヨ

 

合掌

 

 

 

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