354発目 思ったより少ない話。②


ライナーノーツ

ドライブから数日後、私は

えりちゃん(短大卒)を呼び出し

居酒屋にいた。

 

『あのさぁ。やっぱりさ

ゆうちゃん(大卒)のお父さんの車と

キンちゃんの車の修理代はさ

払った方がいいと思うんだよ。』

 

私は気になっていたことを

ズバリと切り出した。

 

彼女も気になっていたらしく

でも、誰にも相談できなかった

と打ち明けてくれた。

 

『いくらくらいかかるかな?』

 

『本人たちが請求してこないから

いくらかかるかは分からんけど

封筒に入れてさ、手紙を添えて

渡せばいいんやない?

金額はもう気持ちやろ。』

 

『そうだね。』

 

数日後、キンちゃんから

仕事帰りに飲みに行こう

と誘われた。

 

先日えりちゃんと行った

居酒屋だ。

 

最初に頼んだビールを

一口飲んだところで

キンちゃんが切り出した。

 

『えりちゃんがさ、車の修理代っつって

封筒を渡されたんだけどさ、

そもそも俺、修理してないから

いらないっつったんだよな。』

 

『ああ、そうなん?修理せんやったん?』

 

『そそ、見た目に分からないし

だからさ、えりちゃんに

そんなに気を遣わなくていいよ

って封筒返したんだ。』

 

『中身も見ずに?』

 

『うん、多分お金だと思うけど

なんか同期でそんなに

気を遣いあってもねぇ?』

 

『そっか、じゃえりちゃんも

それで納得してた?』

 

『ってゆうか、ほっとしてた。』

 

ん?ほっとしてた?

 

ま、いいか。

 

そうか私の考えすぎだったのか。

 

それもそうだな。

 

同期だしな。

 

『いや、実はさ。

俺が言ったんだよ。えりちゃんに。

ちゃんとしといた方がいいって。』

 

『ああ、そうなんだ。いや

なんかさ、聞いたらゆうちゃんにも

受け取ってもらえなかったって

言ってたからさ。』

 

『ちょっと電話してみるか。』

 

私はえりちゃんの携帯電話に

電話をかけた。

 

えりちゃんは短大の頃の

同級生と近くで飲んでるらしく

もう少ししたらこちらに

合流するとのことだった。

 

30分ほどしてえりちゃんは

一人で居酒屋に現れた。

 

『いやあ、えりちゃん。

なんか俺さ、出過ぎたマネ

っていうか、ごめんね。

キンちゃんもゆうちゃんも

俺が思ってたほど気にして

なかったみたい。』

 

『そうだよ。私もヤマシタ君に

言われてからすっごい気になって

勇気振り絞って二人に

謝ったら全然気にしてなくて~。』

 

『良かったね。二人とも

心が広くて。』

 

『うん、でもさ。やっぱり

なんだかしっくりこないって

ゆうかさ、二人にはなんか

お詫びしたんだよね。』

 

どうやらこの一件でえりちゃんは

お詫びモードになったらしく

二人からは断られたが

どうしてもお詫びしたくなったみたいだ。

 

キンちゃんがこう提案した。

 

『じゃあさ、俺とゆうちゃんを

食事に招待してよ。

それでチャラにしようよ。』

 

『あ、そうだね、じゃ

そうしよう。』

 

ということでえりちゃんは

キンちゃんとゆうちゃんの

二人を連れて食事に行くことに

なった。

 

数日後、私がその話を

別の同期のヤツに話したら

そいつから思わぬ横やりが

入った。

 

ツヅク

 

合掌

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