253発目 普通の話。


ライナーノーツ
『店長おすすめ、海洋3種盛り合わせ

だってよ。』

『おお、じゃあ頼んでみようぜ。

支店長も食べますか?』

 

テーブルに運ばれてきたその品は

確かにおいしそうな色と艶だった。

エビとウニ、そしてイクラが乗った

サラダのような、そうじゃないような。

 

私は、普段から食べ物で冒険は

しない主義だ。

つまり、初めて口にするものに

対する警戒心が他人より強い。

 

ましてや、今回は私の苦手な

エビも入っている。

 

エビなんて、プリン体のお化け

ですからね。

ビールですら最初の1杯しか

飲まないのに。

 

部下の一人が全員の取皿に

分けている。

 

『ああ、俺はいいや。』

 

やんわりと遠慮する。

 

うまそうだな、といいながら

それぞれが運ばれてきた料理を

口にしだした。

 

と、そのとき部下の一人が

店長お勧めの、そのサラダとも

なんともいえない代物を食べ

こう言った。

 

『普通にウマイ!』

 

まただ。

 

最近、この言い回しが耳につく。

 

『普通においしいですよ。』

『今日は普通に暑いですよ。』

 

ふつう【普通】
①世間にざらにあり、なんら変わった
所が見られないことを表す。
②同類の多くがそうであるのと
同じ程度

 

つまり、『普通においしい』

という表現は褒めてるのでなく

どちらかというと貶している

ニュアンスに聞こえるのだ。

 

お姉ちゃんがいる飲み屋で

『ヤマシタさんって面白いですね』

と言われるのと

『ヤマシタさんって普通に面白い!』

だと、後者の方がカチンとくる。

 

言い換えれば

『ヤマシタさんって、世間にざらにあって

なんら変わった所が見られないくらい

面白いですね』

だろ?

 

全然、褒められた気がしない。

 

 

・・・・・ん?

 

は!

 

そもそも最初から褒めてないのか?

 

ガックリ

 

合掌

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