どんなに呼びかけても
彼女はもう動かない。
動かなくなった彼女の
閉じた瞼から
涙が落ちる。
2分前まで
はしゃいでいたのに
まるで違う世界に
紛れ込んだように
彼女はもう動かない。
私は彼女に手を差し伸べる。
その手を彼女がつかまないと
知っているのに。
どうして?と
私は尋ねる。
彼女が答えないのを
知っているのに。
ふと、彼女の口が動いた。
気がした。
私は最後の力を
振り絞って
彼女に懇願する。
動いてくれと
念じながら
彼女に、彼女だけを
見つめながら。
『いっちゃん、アイス買ってやるけん
自分で歩きなさい』
ダッコシテェ
合掌