218発目 ダイスケからの贈り物の話。



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ライナーノーツ




ダイスケが転校してきたのは

小4の時だった。

転校初日に自分のプロフィールを

語る際に『俺のオヤジは社長だ』

と言ったもんだから

クラスの大半から反感を買った。

その日を境にダイスケと口を

聞く者はおらず、昼休みも

一人で過ごすダイスケに

唯一、話しかけているのは

ボクだけだった。

みんなは『ダイスケと仲良くするな』

と言ったけどボクはどうしても

放っておけず、週の何回かは

自宅に行ったりして放課後も

遊んでいた。

4年生も終盤に差し掛かり

ダイスケはクラスの全員に

自分の誕生日会の招待状を

配った。

ボクはきっとだれも来ないだろうな

と予想していたので

ボクだけは行こうと決めた。

 

誕生日会当日、ボクは予定通り

お母ちゃんが用意してくれた

プレゼントを持ってダイスケの家に行った。

テーブルに並べられた大量の

料理がむなしく見えたのを

今でも覚えている。

しかし待てど暮らせど

ボク以外のクラスメイトは

来なかった。

ダイスケの母ちゃんが

始めよっかと悲しそうにつぶやいた。

料理を一通り食べ終え

片づけを済ましたダイスケの母ちゃんは

ボクにこう聞いた。

『ヤマシタ君はダイスケと

仲良しなのね?他の子達は

どうなのかな?』

大人の表情を読み取れるほど

成長してなかった当時の僕は

残酷にもこう答えた。

『おばちゃん、ダイスケは

オレ以外の友達はおらんよ』

ダイスケは飄々としていたが

母ちゃんは悲しそうだった。

それから数週間後

ダイスケは突然学校に来なくなった

が、そのことを話題にする

クラスメイトは一人もいなかった。

ダイスケが来なくなって数ヶ月。

ボクは小5になっていた。

ある日、家に帰ると

小4のときの担任の先生が

家に来ていた。

『サトル、あんたダイスケと

仲良かったやろ?

ダイスケのお母さんから

手紙を預かったよ』

ボクはダイスケの母ちゃんからの

手紙を読んだ。

手紙にはこう書いてあった。

~ヤマシタ君

ダイスケと仲良くしてくれて

ありがとう。ダイスケはお父さんの

仕事の都合で転校しました。

皆に挨拶も出来ずに突然で

ごめんなさい。

新しい学校でもダイスケは

友達が出来ず、いつも

ヤマシタ君と遊びたいと

言ってます。

いつかこちらに遊びにいらしてください。~

 

ボクはその頃にはダイスケに対して

何の興味もなくなってたので

ふうん、とつぶやいた。

手紙にはダイスケは友達を

作るのが苦手なの、とも

書いてあった。

ウチのお母ちゃんと先生が

なんでダイスケ君は友達が

出来んやったんやろ?

と聞くので僕は正直に

父親が社長だってことを

自慢するからだよと打ち明けた。

先生もウチのお母ちゃんも

とても悲しそうな顔をした。

 

それから、毎月のように

ダイスケの母ちゃんからは

手紙が届いた。

ボクは読むには読んだが

返事は書いたり書かなかったりだった。

 

月日は流れ、ボクは中学生になった。

ダイスケの母ちゃんからの手紙は

続いていた。

夏休みに入る前に来た手紙には

こう書いてあった。

~ダイスケはまた転校することに

なりました。今度は小倉を離れ

遠い町に引っ越します。

最後にもう一度ダイスケに

会ってもらえないだろうか?~

と。

 

ボクは面倒だから無視しようと

決めていたが、お母ちゃんが

行ってきなさいというので

渋々、バスに乗って町のほうまで

出掛けていった。

 

小倉駅の前で久しぶりに会った

ダイスケは髪は金髪でリーゼント、

ダボダボのジャージを器用に

着こなしていた。

ああ、グレたんだな。と

誰が見ても分かるくらい

分かりやすいグレ方だった。

『久しぶり。』

『サトル、お前には世話になったな。

ウチの親父の会社つぶれてさ

借金もいっぱいあったから

両親も離婚して、母ちゃんの実家の

広島に行くんだ。』

衝撃の告白だった。

『オレさ、お前には感謝してるんだ。

筆箱壊してごめんな』

すっかり忘れていたけど

一度、授業中にヒステリックを

起こして暴れだしたダイスケを

押さえたときにボクの

買ってもらったばかりの

筆箱を壊されていたんだった。

その罪滅ぼしと言って

ズシリと重い紙袋を渡された。

 

ボクはダイスケに別れを告げ

その場を去った。

家に帰って紙袋開けると

手紙と一緒に大量の

アダルトビデオが入っていた。

手紙には父親がアダルトビデオの

制作会社の社長だったこと。

小倉でラブホテルを経営していたこと。

そのホテルのあちこちには

盗聴器と隠しカメラが設置されていること

その設備はそのまま他人の手に

渡ってしまったことなどが

書かれていた。

 

当時のボクの家には

ビデオデッキがなかったので

翌日、学校に持って行き

欲しいという奴らにすべてあげた。

その時にダイスケの話をしたが

誰もダイスケのことを覚えてなかった。

ボクはこのビデオを振舞ったことで

学校の仲間から一目置かれるように

なった。

ダイスケも最初からこうすれば

よかったのにとも思った。

 

先日、すごく偶然だが

中学の同級生に会った。

彼は当時、ボクからもらった

ビデオのことを良く覚えており

『あのビデオのタイトルって

ナンだったっけ?』

と聞いてくるので

ボクはこう答えた。

『ダイスケからの贈り物だよ』

 

ノスタルジー

合掌



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