158発目 あのおばちゃんの話。


ライナーノーツ

私の自宅付近は坂が多い。

仕事を終え、駅から自宅へと
向かう途中の坂道で
おばちゃんの叫ぶ声が聞こえた。

助けて~

これは異常事態だ!

私は普段は表に出さない正義感を
ここぞとばかりに取り出した。

声のした後方を振り返る。

自転車にまたがり
両足を広げ坂を下りてくる。

『どいて!どいて~』

キキキキー!

私の手前で左折したおばちゃんは
そのままスーパーの駐車場へ
入っていった。

気になったので
後を追った。

おばちゃんはスーパーの入口で
自転車を降り肩で息をしていた。

大丈夫ですか?

『怖かったわ~。
膝にカナブンが止まったの』

こんな時期にカナブンが
いるわけないでしょう。
見間違いですよ。

私はおばちゃんの膝をみた。

ゴキブリだった。

もう一度、夜の闇に
おばちゃんの悲鳴が響いた。

オヤスミ

合掌

 

あのおばちゃんが二度目の登場
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126発目 坂道の話

“158発目 あのおばちゃんの話。” への2件の返信

  1. 坂道とまれんくて、助けてかと思った^ – ^
    テクニシャンな構成やね、すごい
    エクセレンと!

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