121発目 ソレの例え方の話。


舞台IMG_1606

男子中学生というのは、
自分でコントロールできないくらいの
欲望が全身からあふれ出す世代だ。

私がそうだったように
今は可愛い息子も、いずれそうなるのか
と思うと、いても立ってもいれなくなる。

しかし、と思い直す。
しかしみんなが通る道だな、と。

やがて高校生くらいになると
少し落ち着いてくるので、一種の
はしかみたいなものだな。
そう考えると気が楽になる。

高校3年の夏休みというと
受験生は最も大変な時期だ。
とある予備校では、夏を制するものが
受験を制するとまで言ってのける。

そんな夏休みのある日、
私は友人の家を訪ねた。
彼の家にはエアコンがついているから
という至極簡単な理由だ。
当時の我が家にはエアコンはなかった。

涼しいリビングで、勉強とは無縁の
私と友人は、馬鹿な話で盛り上がっていた。

やがて、部活動を終えた中学生の弟が
帰宅してきた。『あ、ヤマシタさん、いらっしゃい』
と礼儀正しい。
とても欲望にまみれた中学生には見えない。

友人の母親が、帰宅したばかりの弟に
『暑かったやろ?風呂できとうよ』と
入浴を勧める。

やがて風呂から上がってきた弟は
パンツ一枚でリビングに入ってくる。
ちっ、お姉ちゃんなら良かったのに。と
欲望から卒業したはずの私は思う。

あぐらをかいた弟の太ももをみて
母親が『あんた、それなんね?』と尋ねた。
白い液体がついている。

慌てた弟は
『タンよ、タン!』と即答する。

ニヤリと目を合わせる私と友人。
分かるぞ。若人よ。それはタンじゃないな。
中学生だもんな。欲望丸出しだもんな。
あえて指摘はしなかったが、私たちは
クスクスと笑いが止まらない。
『なんだよ、本当にタンだよ』と
弟は弁解を続ける。

やがてお父さんが帰ってくる。
お母さんが弟のときと同様に風呂を勧める。

風呂場からは父親の大きな声が
聞こえてくる。
『おい!湯船になんか浮いとるぞ』

慌てて風呂場に駆け寄った弟が
今度はどう弁解するのかが気になった。

『そ、それは、リンスよリンス!』

なるほど、そう言われれば
そう見えなくもない。

あぁ、中学生とはなんと
欲望をコントロールできない生き物なのか!

キミハダイジョウブ?

合掌

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