82発目 親子の話。


舞台IMG_1606
東に面した窓から、朝日が差し込む。
まだ6時だというのに既に外はかなりの気温だ。
洗面所で顔を洗い下着を着替えると
2階のドアががちゃりと開く音がする。

お父さん、まだおると?
階段の上から息子が声をかけてくる
いつもの朝だ。
おはよう。と声を返す。
階段を下りてきた息子がソファーに
ねぞべる。私は横に座り彼の頭をなでる。
なでながら、彼の将来を想像してみる。

ふと、こんな話を思い出した。

ジョンレノンの息子、ジュリアは当時5歳だった。
ウチの息子と同じ年だ。
ジョンはシンシアと別れることが
決まっており、寂しくて
ふさぎこんでいたジュリアを励まそうと
当時、公私にわたってジョンを支えてきた
ポールマッカートニーは、彼のために
曲を書いた。

ヘイ・ジュードだ。

本当はジュリアという意味の
ジュールだったのだが音が悪いと言うことで
ジュードに替えられた。
ジュードとはつまりジュリアのことだ。

それから30数年の月日を経て
当時ポールが書いた手書きの楽譜が
サザビーのオークションに出品された。
それを、私のために書いてくれた曲だからと、
ジュリアが落札した。
落札価格は2万5千ポンド、日本円にして
約300万円強だ。

私の息子は大人になって、私が作った
工作の数々が仮にオークションに出品されたとして
落札してくれるだろうか?

頭をなでられてまどろみの中にいる彼は
大人になることなんか、きっと
想像もつかないんだろうなと思うと、
なるべくたくさんの何かを残してやろうと
思ってしまった。

このブログに残す文章を彼が大人になって見たときに
がっかりしないように、たまにはこんな
オチがない話でも載せておこう。

このまどろみの時間が、彼にとって
黄金のまどろみでありますように。

ゴールデンスランバー

合掌

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