440発目 境界線に切裂かれた話。


ライナーノーツ




目の前にそびえる急斜面

この丘の上に君がいる

僕の元を去るときに

君は僕にこう言った

 

あなたがもう一度

私に会いたいなら

あの丘の上に来て

私はそこに

いるかもしれないし

いないかもしれない

 

君が僕の元を去ったのは

僕に原因がある

 

反省した

猛省と言ってもよい

 

だから僕は君に

会いに来た

 

だが丘は

僕の意思を確かめるように

高く急勾配でそびえている

 

右足を前に出す

臆するな!

そう自分に言い聞かせる

 

1歩、また1歩

足を進める

 

君は本当に

そこにいるのかい

 

答えのない疑問を

頭の中で反芻しながら

 

1歩、また1歩

足を進める

 

頂上で一旦、

振り返り下を見る

 

意を決し

彼女がいるであろう

その方向に向き直る

 

彼女はそこにいた

僕を待っていた

 

だが彼女と僕の間には

境界線があった。

境界線の向こう側に

彼女は佇(たたず)んでいる。

 

私は振り返り

大きな声で叫ぶ

 

 

 

『キャディーさ~ん。白杭ってワンペナ?』

 

『あ~ヤマシタさ~ん。OBで~す。

前からお願いしま~す』

 

プレイングフォー

 

合掌

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