俗に【アヤをつける】と言うと
難癖をつけるとか、
言いがかりをつけるという
意味で使われるが
これは隠語である。
語源としては諸説あるらしいが
漢字で書くと
『文をつける』
と書くので、まあ、文句の
略なのかと自分では思っている。
これを読んでいる読者諸兄が
『へぇ~』
とか
『さすがヤマシタ』
とか
『ライナーノーツって
勉強になるよね』
って言ってる姿が目に浮かぶ。
褒められついでに
私も『アヤ』をつけようかと
思う。
昔から気になっていた。
『綺麗好き』に対してだ。
私はこう見えても
綺麗好きだ。
無類の、と付けても良い。
整理整頓の行き届いた部屋。
目鼻立ちの美しい女性。
シワ一つないシーツ。
草花が咲き乱れる高原。
雲ひとつない青空。
どれもが私の大好物だ。
だが、ある時、私の彼女を
部屋に招待したとき
彼女はこう言った。
『綺麗好きって言ったや~ん』
足の踏み場もない
私の部屋を見て
あきれたように、
そして勝ち誇ったように
腰に手を当て私を見下ろし
『全然、綺麗好きじゃない』
と言い放った。
綺麗好きですよ。
ただ片付けるのが
苦手なだけ。
何ですか?
もしあなたが思っている
『綺麗好き』がもしかして
『綺麗にすることが好きな人』
という意味で思ってるんなら
それは間違いですよ。
辞書によるとこうある。
【きれいずき】綺麗好き
綺麗な状態を好む様子、またその人。
もしあなたの言うとおり私が
『綺麗にすることが好きな人』
だとすると、逆に
散らかった部屋の方が
好きという事になりますよ。
だって片付いた部屋だと
大好きな『綺麗にすること』が
出来ないですからねぇ。
あれから12年。
もしあの時、このように
彼女に対して『アヤ』を
つけていたら今頃、
可愛い子供にも恵まれず
いまだ独身だっただろう。
あ~。
アヤつけなくて
良かった。
教訓。
奥様の言うことは
文句を言わずに従おう。
ストレス ストレス
合掌