390発目 郷里を想う話。


ライナーノーツ

今日、2月3日は節分だ。

 

朝早くから子供達が

お父さん、今日は早い?

と聞いてくる。

 

そうか、豆まきをするんだな

と思い、私は約束する。

 

今日は早く帰るよ、と。

 

ところで、と息子が聞いてきた。

 

『鬼は分かるけど福って何?』

 

そうか、福が分からないか。

 

私はなるべく分かりやすく

説明する。

 

『福ってのは良いことって

意味があるんだ。

漢字で書くと福岡の福だよ。』

 

『そっか!じゃあ福岡は

福だらけなんやね!』

 

いや、まあ。そうかな?

 

『でもさ、福岡ってヤクザが

多いんやろ?

鬼はおらんけどヤクザが

いっぱいおるんやろ?』

 

う、うん。そ、そうかな?

 

『じゃあさ、今日の夜は

福岡のほうに向かって

豆まきしようね。』

 

そう言って娘と二人で

予行演習を始めた。

 

『福はうち~!

ヤクザはそと~!』

 

ああ、やめてやめて。

 

窓を開けてそんな大声出しちゃ

やばいよ。

 

私は慌てて訂正する。

 

『ヤクザは警察がやるから

君達はしなくていいんだ。』

 

きょとんとしている子供達に

尚も説明を続ける。

 

『警察にはヤクザを退治する

部署があるから、そこの人たちが

おそらく豆まきをすると思うんだ。

だから、君達はしなくて良い。』

 

『じゃあ、何を追い出せばいい?』

 

『そうだな、おしっこを

漏らさないように

おしっこはそと~って

やればいいんじゃないか?』

 

子供達は合点がいったのか

早速、予行演習をする。

 

『おしっこは~そと~。』

 

ん?

 

随分小さな声だな。

 

『どうした?

どうしてそんな小さな声なんだ?』

 

『だって、窓あけてるから

誰かに聞かれたらまずいやろ?』

 

 

いやいや。

 

おしっこよりヤクザのほうが

まずいって。

 

ってゆうか、鬼は退治しなくて

いいのか?

 

 

それにしても

警察が本当にやってたら

ちょっと笑えるな。

 

『それでは本部長からの

訓示をいただきます。』

 

『え~、我が組織犯罪対策課は

今日まで皆さんの努力で

指定暴力団の壊滅に力を

注いで来ました。

本日は無事の成功を祈念して

全員で豆まきをします。』

 

『指定暴力団はそと~、

観光客はうち~』

 

ま、そんなわけないか。

 

ともあれ

故郷が

ハッテンシマスヨウニ

 

合掌

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