372発目 朝礼の話。


小倉アナ

ある企業が朝礼のやり方を

変えただけで、みるみる

業績が伸びて行ったらしい。

 

という記事をとある経済紙で

読んだ。

 

この見出しは大げさだ。

 

朝礼を変えただけで

業績が上がるはずはない。

 

風が吹けば桶屋が儲かる

と同じ意味だ。

 

しかし、たいていの人は

この記事を鵜呑みにし、

 

『朝礼変えただけで?

マジで?うちもしよっかな?』

 

となってしまうから

驚きだ。

 

正確には、こういうことだ。

 

朝礼を変えたら社員の士気が

あがり、業務にメリハリがつき、

結果、業績が上向いた。

 

ま、結局、業績は上がるから

いいんだけどね。

だけど朝礼を変えても社員の

士気が上がらなければ

業績は上がらないという事に

気づかない人も多い。

 

朝礼をやらない企業も

あるくらいだし。

 

私は朝礼はやった方が

いいと思う。

 

全員が揃うのは朝だけだし

連絡事項の伝達ミスは

朝礼をやるとやらないとでは

大違いだからだ。

 

朝礼をやっていて

本当に良かったと思うことがある。

 

 

 

私が最初に就職した

建設会社での朝礼だ。

 

営業1課の課長は

営業部の中で最も成績の良い

スーパー営業マンだった。

 

 

確か当時は35歳だったはずだ。

年長の他の課長を差し置いて

1課の課長に抜擢された。

 

その課長が筆頭課長になって

最初の朝礼のときのことだ。

 

各セクションの責任者達が

伝達事項を発表し、

支店長の訓話のひとつ手前で

彼に順番が廻ってきた。

 

『このたび、1課の課長として

任命されました。

1課の歴代の課長に負けぬよう

精進します。

よろしくお願いいたします。』

 

 

違和感を感じたのは

彼がお辞儀をしたときだった。

 

私は自分で言うのも

何だが目敏い。

 

 

めざとい【目敏い】
見つけることが早い。
目聡いとも書く

 

 

 

 

だが、確信が無いので

黙っていた。

もちろん、確信があっても

口に出来る内容ではない。

 

何が?

 

彼がカツラだってことだ。

 

うなじの辺りに、少しだけ

隙間が出来ていた。

 

言いたい。

 

本人を問いただしたい。

 

だが、それをやっちゃいけない

ってことくらい、知っていた。

 

だから我慢しようと思った。

 

でもよ。

そういえば支店長は我々に

こう言っていたな。

 

『朝礼では日々の仕事を

円滑に行うための、いわば

準備運動みたいなものだ。

だから、君たち若手の社員も

疑問に思うことがあれば

どんどん発言して良いんだよ。』

 

あれは真に受けて良いのか?

 

しかし、何て聞けばいいんだ?

 

あ~いらいらする。

 

そうこうしている内に

支店長の訓話が始まった。

 

『ということで、今後は1課長を

筆頭に益々業務に励んでください。

ああ、違うよ違うよ。』

 

へ?

 

何が違うんだ?

 

『今の励んでくださいって

いうのは、課長がハゲ

って意味じゃないよ。』

 

事務所内が凍りついた。

 

課長を見ると課長も

凍り付いていた。

 

『あれ、みんな知らなかったの?

こないだウチに課長が

泊りに来たときさ、

朝、洗面所でその頭、

脱いでたよね?』

 

事務所内がザワつき始めた。

 

課長はうつむいて

顔を真っ赤にしている。

 

『なんだよ課長。

どうせみんな陰で言ってるんだから

はっきりさせとこうよ。』

 

課長は1歩前へ出ると

顔を赤らめたまま

 

『はい、これはカツラです。』

 

と告白した。

 

一同は『ほ~』と言うような

顔で拍手をした。

 

素晴らしい。見事な告白だ。

 

支店長の暴露で支店内の

暗澹たる空気が一掃された。

 

やはり朝礼はすべきだな。

 

その日の夜、課長の

昇進祝いを近くの居酒屋で

やった。

 

課長は浜に打ち上げられた

クラゲのようにベロンベロンに

酔っ払っていた。

 

私は今でもこの支店長を

尊敬している。

 

ツルンツルンガベロンベロン

 

合掌

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*