371発目 俺のおかげの話。


ライナーノーツ

聞くところによると、

どんぶりチェーンで有名な

あの店の人気ナンバーワン

メニューは、

【牛バラ野菜焼定食】らしい。

 

鉄鍋の下に発火装置が

ついており、温めてから、

と言うよりその場で焼いて

食べる感じのメニューだ。

 

評判に釣られて行ってみた。

 

注文してしばらくすると

牛バラなんちゃらが運ばれてきた。

 

着火する。

 

しばらく待つ。

 

じゅーじゅー音がしてくる。

いい匂いもして来た。

 

おい!

 

ちょっと待て。

 

この店のキャッチフレーズは

何だ?思い出してみろ!

 

『うまい!安い!早い!』

 

だろうが!

 

ちっとも早くないぞこれ。

 

でも、490円か。

 

うまいし安いからいいや。

 

隣の牛皿定食の兄ちゃんが

 

「やっぱ、そっちにすれば

よかったかなぁ。」

 

みたいな目で見てるぞ。

 

と、優越感に浸っていると

あのことを思い出した。

 

 

もう20年位前の話だ。

 

そのときも私は

有名どんぶりチェーン店の

カウンターに座っていた。

 

『ご注文はお決まりでしょうか?』

 

『この牛丼の並盛。

あ、牛肉とご飯は別々に

してもらえます?』

 

『え?』

 

『だから、ご飯の上に

乗っけないで欲しいんです。』

 

『いえ、出来ません。。。』

 

『なんで?出来るでしょ?』

 

『いえ、出来ません。。。』

 

プチッ

 

『どうしてですか?

どういう意味ですか?

技術的に出来ないんですか?

それとも気分的にですか?』

 

『あ、いえ、そういう訳じゃ・・』

 

『じゃ、どうしてですか?』

 

『いや、あの少々お待ちください。』

 

『い~や、待ちませんよ。

答えてください。

技術か?気分か?』

 

『あの、りょ、両方・・』

 

ブチブチっ

 

『店長を呼んでください。』

 

・・・・・

 

『はい、私が店長です。』

 

『すみません。忙しいのに。

私は白ご飯と牛肉を

別々にして欲しいと

お願いしたんですが

出来ないっておっしゃるんですよ。

出来ますよね?』

 

『はい、お客様。

理論上は可能です。

でもですね。そうすると

牛丼ではなくなってしまうんです。』

 

な~るほど。納得。

 

『そうですか。失礼しました。』

 

 

そして今、20年ぶりに

この店に来てみれば

隣の席の兄ちゃんが

食べている牛皿定食。

 

出来んって、言ったやないか~い!

 

それだと牛丼じゃありませんって

言ったやないか~い!

 

『牛丼ひとすじ!はちじゅうね~ん~!』

 

ウソやん!

 

ってゆうか、俺のクレームで

思いついたんやろうが!

 

ネ?オレノオカゲデショ?

 

合掌

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*