次の約束までゆっくりとした
時間がなく、かといって
昼ご飯を抜くのはガマンが
できず、どうする?オレ?
って時の話だ。
コンビニでサンドイッチでも
買うかどうか迷ってるときに
前方にマクド〇ルドの看板が
見えた。
ほう。ドライブスルーか。
その手もあるなと
ハンドルを切る。
『いらっしゃいませ~
マクドナ〇ドへようこそ~』
と、間延びした声が
スピーカーから聞こえる。
思わず舌打ちしたくなる声だ。
オレはスピーカーに向かって
注文をする。
『フィレオフィッシュのセットと。』
『お魚のフィレオフィッシュですか~?』
ちっ。
魚以外のフィレオフィッシュが
あるならそっちを食ってみたいわ!
と言いたいのをぐっとこらえる。
『そう。魚の奴。』
『他にご注文はございますか~?』
ちっ。
間延びした声を出しやがって!
と言いたいのをぐっとこらえる。
『ああ、ナゲットの5個入り。』
『は~い。』
ちっ。
この場合は『鶏のナゲットですか?』
とは聞かないのか!
と言いたいのをぐっとこらえる。
『ソースの方が
マスタードと
バーベキューで~す。』
おい!
どちらになさいますか?と
聞け!お前の言い方だと
ソースの紹介だろうが!
バンドのメンバー紹介と
同じだろうが!
『ギターのマスター君と
バーベ君で~す。』
ってことだろうが!
と言いたいのをぐっとこらえる。
『ああ、じゃあマスタードで
飲み物はコーラ』
『お会計801円で~す。
お車前へどうぞ』
北海道はご周知の通り
この時期だと寒いので
窓を閉めて待っていた。
コーラを手にした小娘が
店の奥からやってきて
小窓のところで躓いた。
ばちゃんと飲み物が
車にかかる。
おいおい!
窓を閉めてたから
良かったけど、
なんじゃお前!
オレは窓を開けて文句を
言ってやろうとした。
ふと、飲み物がかかった
窓を見た。
ん?紫の液体?
てめえ。
ファンタグレープじゃねえか!
オレが頼んだのはコーラ
やろうが!
オレが窓を開ける前に
小娘は窓から体を
乗り出して紙ナプキンで
窓ガラスを拭いてくれた。
そして、また奥に引っ込んでいった。
くそ!
文句を言うタイミングを
逃してしまった。
再び、現れた小娘は
飲み物と商品をオレに
手渡しながら
『ホントにすみませんでした~』
と言った。
ちっ。
間延びした声を出しやがって!
と言いたいのをぐっとこらえる。
オレも大人になったもんだ。
さて、結局、文句も言わずに
店を去り、無事に次の
客先に約束の15分前に
到着した。
よし。急いで食べよう。
袋を開ける前に飲み物を
確認しなきゃ。
あの小娘め。ファンタグレープ
だったら電話してやる。
ちゅうぅ。
おお、ちゃんとコーラだ。
さては気づきやがったな。
それとも間違ったことを
隠すためにわざと転んだのか?
さあ、やっと食事だ。
好物のナゲットを食べよう。
オレはソースをたっぷりつけた
ナゲットを口に運ぶ。
手が汚れたので
袋の中の紙ナプキンを・・・・
入ってねえぇじゃねぇか!
あいつ!
さっき車の窓を拭いたヤツ。
オレの紙ナプキンだったのか!
あんなマクドナル〇には
二度と行かない。
トヨヒラクノ〇クドナルド
合掌