323発目 鼻炎の話。


出世魚

幼少の頃からアレルギー性鼻炎で

もう事あるごとに鼻水がでまくって

鼻の穴からだけなら対処のしようも

あるのだが、奥のほうの通路から

のどに降りてくる鼻水たちが

おるもんだから、困っちゃう。

 

鼻の穴におるあいだは、ティッシュで

ぶいーんってやればいいんだけどさ、

やりすぎると鼻の穴の間仕切壁みたいな

所がカビカビになってしまいには血が出てくるんだ。

流血のサトルだよ。

 

あれ、なんで鼻水がのどに来たら

タンって名前に変わるんだろうね?

ちょっと粘りがソリッドになるからかな?

 

ヤズ、ハマチ、ときてブリみたいなものか?

 

じゃ、鼻の穴におるあいだはヤズだな。

 

んでさ、家にいたら洗面所に行って

ペッと吐くんだけど、排水溝のあみあみに

絡み付いて降りていこうとしないんだよ。

なんかしがみついてる。

 

これ、手を離したら負けだぞって

くらいしがみついてる。

 

そこに他の人の髪の毛とか絡まって

もうそこは地獄絵図だよ。

 

子供の頃はお母さんから、今だと

奥様から、同じことを言われるよ。

『はい、自分で洗ってください。』って。

 

でもさ、そうだよ確かに自分が

吐いたやつだよ。でもさ。

自分で触るのは嫌なんだよな。

 

でもそれも無責任な気がする。

自分で産んでおいて赤ちゃんポストに

いや、この例えは不謹慎か。

 

ま、そうゆうわけで、今はのどに降りてきた

ブリはティッシュにくるんでハマチへと

成長させるのさ。

 

ところが、やっぱりストレスになるわけ。

ティッシュで受け取ってくれる大きさには

キャパってゆうものがあって。

 

それを超えると何回かに分けて捕獲しないと

ピチピチってはみ出していく。

まさか、自宅の床にリリースする訳にも

いかないから、がんばって捕らえるよ。

 

だから、外にいて、周囲に誰も見てない

ときなんかは思いっきり、ベって吐くわけ。

 

誰かに見られると嫌だモンね。

見たほうもいい気がしないだろうし。

そのへんのさ、マナーはあるんだよ。

 

見られた人にいちいち説明できないしね。

鼻水の段階のヤズが今、ブリになって

それじゃなんだからハマチにしました

って言っても、なんじゃこいつ?って

なるだろ?

 

で、もうねストレスだろうがなんだろうが

外でのリリースはやめた。

もう絶対しない。

反省した。

 

何故かっていうとさ。

 

まあ、酔っ払ってはいたんだ。あの夜は。

まあまあ大きな通りで周囲に人は

いなかったし、ゴミ箱とかが置いてあって

ああ、これはナイスポイントだな。って

思ったわけ。釣りの決め手はポイントだろ?

あ、九州しか分かんねぇか。

 

んでさ、ブリをリリースしたのさ。

ンベって。

結構でかかったよ。そうだな。

ペットボトルのキャップくらい。

 

そしたらさ、そのゴミ箱とリリースポイントの

間のわずかな隙間をさ、

それこそ針の穴を通すような正確さで

チャリンコに乗った兄ちゃんが

すり抜けていったのさ。

 

一瞬、何が起こったか分からなかったよ。

左のほうから流れ星のように

しゅーーーーーって。

 

まさに流星のサドルだよ。

それを見ている俺なんて

流星のサトルかい?

 

いいんだよ。そんなことはどうでも。

 

あの兄ちゃん。

 

俺からリリースされたハマチを

右腕のところでキャッチしたまま

すーーって行っちゃったんだよ。

もうねハマチも一緒に逝っちゃった。

 

頭の中では久保田利伸が流暢に

歌ってたよ。

 

夜を超えて行くのさ。流星のサドルで。

ゴールなんてなくていいのさ

タンをつかもうってか?

 

だからさ、今日からはティッシュに

リリースする事にしたよ。

 

ああ、早く治らないかな。

 

 

ビエン

 

合掌

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