札幌市営地下鉄東西線の朝は
ほぼ満員電車だ。
通勤ラッシュというヤツだな。
大通り駅は主要の乗換駅で
私はそこで地下鉄南北線に乗り換える。
ぎゅうぎゅう詰めの車内は
乗客の不満で爆発しそうだ。
そんな混雑の中、大きなリュックを背負った
老人が私の前にいた。
女性だ。
電車のゆれに合わせて老人の
リュックが後ろにいる私に
押し付けられる。
小柄な老人のそれは
私の股間を直撃する。
何が入っているのか?
硬いものが私の股間を
直撃する。
私は苦悶の表情を浮かべる。
一言、物申したい。
が、あまりの痛みに
声が出ない。
やがて私が降りる駅に到着した。
老人は私より先に
その駅で降りる。
改札口までの階段で
老人が躓いた。
しょうがない、手助けするか。
『大丈夫ですか』
私は老人に声をかける。
小柄な老人のために
腰をかがめ、低い位置で
声をかける。
振り向いた老人のリュックが
今度は私の横顔を
ヒットさせた。
ゴッ。
まるで鉄パイプで殴られたような
衝撃だ。
『あら!ごめんなさい』
老人は申し訳なさそうに
顔を押さえる私に謝罪する。
『さっきから私にこのリュックが
当たってるんです。
いったい、何が入ってるんですか?』
そう尋ねた私に
老人はリュックを開け、
これが重くて、と
中からその硬いものの正体を
出してきた。
短い鉄パイプだった。
ナニニツカウノ?
合掌