うらおもて 第9話



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本db





八島は亀に言われた通り実家の天井裏に上がってみた。天井裏はクモの巣だらけだが、幸いクモ自体は1匹もいなかった。顔と手だけを天井裏に出し、手に持ったほうきでクモの巣を掃った。ある程度掃い終えると、今度はほうきを懐中電灯に持ち替え天井裏をぐるりと照らしてみた。何もそれらしいものは見当たらない。だが暗闇に目が慣れてきたのか、右の奥の方に箱のようなものが見える。位置からすると和室の押し入れの上くらいだな。八島は一度、下に降りてから和室に移動した。

和室の押し入れには荷物がさほど入ってなかった。そのため八島は容易に天井裏を覗くことができた。枕棚の上の板を横にずらすと暗闇の向こうに屋根の梁が見えた。梁と柱が交わるところにその箱はあった。幅2センチ高さ2センチくらいの直方体で銀色に光っていた。そっと手につかむとその箱はひんやりと冷たかった。ほこりの具合から見てもこれが置かれたのはせいぜい2~3か月くらいだろう。中を見たいという逸る気持ちを抑えつつ、八島は押し入れを出た。

テーブルの上にそれを乗せ、しばらくは眺めてみた。てっきり蓋か何かがあって中に機密データの入ったマイクロチップがあるんじゃないかと予想していた八島は少し肩透かしを食らった気分だった。くるくると回してみるが箱が開く雰囲気はどこにもない。これ以上考えても分からないと判断した八島は亀に連絡を取ることにした。

突然、八島の携帯電話が鳴りだした。ビクっとした八島は液晶の表示を見て安心した。

 

「ああ、今ちょうど亀さんに電話しようと思ってたんです。」

「それは良かった。私も早急にお伝えしなければならないことがあったので、今、清瀬に向かってます。駅の近くでこれから会えますか?」

「分かりました。じゃあ私からの相談もその時にお見せします。」

「天井裏に何かあったんですね?」

「そうなんですけど、これが何かは分からないんですよ。」

「どんなものでしょうか?」

「銀色の小さな箱です。」

「中身は何か入ってましたか?」

「いえ、それが。 箱には蓋らしきものがないんです。だから、中も見れなくて。」

「じゃあ、お会いした時に拝見しますよ。あと15分くらいで到着します。私は白い国産のセダンで向かいますので見つけたら助手席に乗り込んできてください。」

「分かりました、では後程。」

 

電話を切った八島は急いで支度をし、駅へ向かった。ジャンバーのポケットにはあの箱を入れて洋服の上から握りしめた。おそらくこれに父親の無念を晴らす何かがあるはずだ。そう思うと八島の正義感が一層、燃え上がるのだった。

 

亀が乗ってきたセダンは目立たないどこにでもあるセダンだった。八島は運転席の亀を確認し中に乗り込んだ。

 

「これです、電話で話したのは。」

亀は箱を受け取りながら、くるりと箱全体をくまなく眺めた。

「なんでしょうね?これは、確かに蓋もないし。」

亀は箱を振ってみた。が、音もならない。

「それより、そちらのお話ってなんですか?」

八島は尋ねた。

 

「実は、サカナと会って話を聞くために私はサカナの会社を訪ねました。サカナは普段は会社員として釣具メーカーの社員として会社勤めをしているんです。会社の受付の方は月曜日までは有給で休みの届けが出ていたが火曜日以降は無断欠勤となっているとおっしゃってました。こんなことは珍しいとも言ってました。私は残された手がかりとして池袋の公衆電話ボックスに行ってみました。するとそこには怪しい男がいました。男は明らかに物騒な雰囲気を身に纏っていました。私は男に見つからぬように後を付けました。男が入って行ったのは公衆電話がある方と反対の池袋西口の方でした。丸井の裏にある雑居ビルに入って行った男をその場で2時間くらい待ち伏せしました。ようやくビルから出てきた男はそのままタクシーに乗って立ち去りました。」

 

亀はここまでを一気に説明した。そしてドリンクホルダーに置いている缶コーヒーを一口飲むとつづけた。

 

「私は雑居ビルを調べました。1階以外は空室になっているそのビルは4階までしかありませんでしたので、私は下から順番に中へ侵入して様子を調べたんです。すると3階の部屋の奥でサカナが死んでいました。」

 

「え?」

 

「誰かがサカナを始末したんです。正直言って私はほっとしました。ブランクもありますし、何よりウサギさんには暴力以外の解決方法をとれと教えられてましたから。でも誰かが代わりにサカナを始末してくれた。ほっとせずにいられません。ただ心配なのは別の勢力が動いている可能性があるということです。」

 

「亀さんがほっとするのは仕方ないことです。私が汚れ仕事を亀さんに押し付けたんですから。私がはっきりと亀さんに始末してくれと依頼しましたから・・・。でもこれはチャンスと捉えましょう。我々は親父の教え通り、暴力に頼らない解決方法を模索しましょう。」

 

「秀行さん・・・私も同じ気持ちです。ただ今のところ我々がサカナを雇った奴ら、つまりウサギさんを殺すように指示した黒幕を狙っていることを誰も知りません。それだけが私たちのアドバンテージなんです。」

 

「ようし、有利なうちに進めましょう!」

 

「いえ、秀行さん。有利かどうかは不明です。サカナを殺ったのは私たちの味方なのか敵なのかもはっきりしません。もしかしたら私たちもターゲットなのかもしれませんし。」

 

「そうか。そういえばそうですね。ってゆうかとたんに不安になってきた。」

 

「秀行さん、しばらく会社を休めますか?行動を共にした方がよさそうです。そして妹さんのご家族とお母さんにはしばらく旅行にでも行ってもらえませんか?」

 

「そうですね。そうしましょう。うちの女房に話して明日からでも海外に行ってもらいましょう。」

 

突然、車の後方に衝撃があった。運転していた亀は慌ててハンドルを切るが、横向きになった車の助手席側から今度はぶつけられた。八島は衝撃でうずくまってしまった。亀は窓の向こうの車を見つめる。どこかで見たことのある顔だが思い出せない。向こうの車のフロントガラス越しにこちらを見て笑っている。

 

亀はギアをバックに入れ男から逃げた。男は追って来る。久米川町の信号を所沢方面に向けて右折した。ちょうど信号が赤に変わったが男は信号を無視して追いかけてきた。片側1車線の道路を猛スピードで追いついてきた男の車は今度は反対車線から追い越しにかかってきた。亀のセダンに横並びになり、車の右側に車ごとぶつけてきた。目の前の東住吉の信号は分かれ道になっている。ギリギリのところで亀はハンドルを左に切った。しばらく進み西所沢のところをもう一度左折した。目の前の踏切が警笛を鳴らして閉まろうとしている。バックミラーで確認したら先ほどの分かれ道で撒いたと思っていた男の車が迫ってきていた。亀は踏切をくぐった。直後、踏切が閉まり轟音とともに西武電車が通り過ぎた。亀は八島を車から降ろし、自分も飛び降りた。そのまま西所沢から上り電車に乗ってようやく一息ついた。

 

「あれが、あいつがサカナをやった奴なんですか?」

 

「いえ、まだ分かりません。ただどう見ても味方ではないでしょうね。」

 

「これからどうします?」

 

「まずは新宿まで行きましょう。」

 

ソシテマタツヅク

 

合掌



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