280発目 脱ぐ話。



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ライナーノーツ





もうここまで来たら、使命感と

いうよりは意地だな。

 

福岡生まれの福岡育ちの

私としては、これくらいの気温は

なんてこと無い。

 

札幌の人々が暑い暑いと

騒いでいるときでも私は

涼しい顔をしている。

 

いや、していた。

 

伊達政宗といえば宮城県だ。

先日、出張で仙台を訪れた。

札幌と比較すると気温も高く

湿度も高い。

しかし福岡のそれとは

比較にならないほど低い。

だから大丈夫だと思った。

 

伊達の薄着とは、その昔

伊達政宗が冬に寒いからと言って

厚着をするのは格好が悪いと

言って真冬でも薄着でいたことから

そのように言われるようになったと

一説では言われている。

 

私はその逆だ。

 

真夏でも半袖のワイシャツは

格好が悪いと言って、暑いくせに

長袖シャツとジャケットは着る。

 

仙台では1泊の予定だったので

地元の社員と一緒に夜の街へ

くりだした。

 

その日の仙台は、夜になっても

気温は下がらず、私は一人

額に汗していた。

同行したほかの社員は

半袖シャツにノーネクタイだ。

 

『大丈夫ですか?ヤマシタさん。

暑いんじゃないですか?』

 

『な、なにを言ってるんですか!

私は福岡生まれの福岡育ちですよ。

これくらいの暑さなんて

暑いうちに入りませんよ。』

 

しかし背中の見えないところは

滝のように汗が噴出していた。

 

これはいかん。

 

水分を摂るのを控えよう。

 

そして、エアコンの効いた

店内に早く入らねば。

 

到着したスナックで今度は

ウィスキーを出される。

 

そうか、俺は飲みに来ていたんだ。

水分を控えることなど出来ないじゃないか!

 

お酒を飲むことを躊躇していたら

同行した別の人から

『やっぱり、九州の方は

お酒が強いんでしょうね?』

とあおられた。

いや、彼はあおったつもりは

無いのだろうが、私はそう感じた。

 

『そ、そりゃあそうですよ。

こんなウイスキーなんて

水みたいなモンですよ。』

 

ああ、この我慢の世界から

開放されたい。

 

一体、私は何と戦って

何に勝とうとしているのだろう?

 

目的を見失ったとき、人は

無力になる。

 

私は氷の解け始めた水割りグラスを

つかむと消え入るような声で

つぶやいた。

 

『すみません、本当は暑くて

たまりません。

ジャケットを脱いで良いでしょうか?』

 

ああ、負けた。

 

九州の仲間達よ。

 

私は負けた。

 

北国の暑さに負けた。

 

『弱者』と罵るがいいさ。

罵声も罵倒も受け入れる。

 

ただ、ジャケットだけは

脱がしてくれ。

 

ホテルに戻り、来ていた服を脱ぐ。

絞ると水滴が出そうなくらいに

Tシャツが濡れていた。

ジャケットも湿っていて

匂いをかぐと、想像を絶する

異臭を放っていた。

 

ガマンハ、ドク。

 

合掌

 

 



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