115発目 誕生日の話


ライナーノーツ

かつてこんなにも多くの人に
誕生日を祝ってもらったことが
あるだろうか?いや無い。(反語)

とてもありがたいと共に
生きていてよかったと思えた瞬間だ。
私は幸せだ。幸せな42歳だ。

そういえば、と思い出す。

高校生の頃だ。
そもそも、私は数学が得意だった。
特に数字の羅列に関しては
暗記してしまうほど好きだったので
いろいろな友達の電話番号や
誕生日なども記憶してしまう。
あれから20年以上が経過しているが
未だに覚えている。
ナベチャンの誕生日。
ヤナオの実家の電話番号。
イノウエの誕生日。
カモガワの実家の電話番号。

数えたらキリがない。

あるとき年下の女の子に
数字の羅列を覚えるコツを聞かれた。
私はコツというほどではないが
3つづつとか、4つづつ覚えるといいよ
とアドバイスする。
すると彼女が
『じゃあ、早速、先輩の誕生日を
覚えてみます。』
というではないか。
11月6日だから116で覚えてね。
私は多少の期待を込めてそう返した。

やがて私の誕生日が到来した。
彼女と廊下や下駄箱のところで
すれ違いはしたが、軽い会釈だけで
私が期待していたプレゼントらしきものは
おろか、おめでとうの声すら聞けない。

きっと彼女は忘れてしまったのだ。
と、淡い期待はもろくも崩れ去った。

クリスマスが終わり、年も明け
冬休みが終わった頃、
3学期も始まったので私はそのことは
すっかり忘れていた。
ところが彼女はしっかりと
覚えていたのだ。

今でも忘れられない記念日だ。

彼女はなんと1月16日に
プレゼントを持ってきたのだ。
『おめでとう。おかげで数学の
成績が良くなりました。』

う~ん。100点ではないな。おしい。

アワイオモイデ

合掌

“115発目 誕生日の話” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*