151発目 心よりの謝罪の話。


もつなべ

朝の通勤電車の中だ。

吉塚駅を発車しもうすぐ博多駅に
着きますよ、というところにいる。

突然、鼻をつんざく異臭がした。

一瞬、地下鉄サリン事件の記憶が
よみがえる。
が、程なくアレは無臭だったなと
思い当たる。

周囲が無言でざわめく。
無言でざわめくと言うのは
おかしな表現だが
現場はそうゆう状況だ。

全員が犯人探しをする。
こめかみにしわを作り(眉間ではなく)
首を左右にめぐらせ
『お前か?それともお前か?』
と目を光らせる。

私も後ろを振り返り
お前か!という顔で
後ろの人を見る。

私の後ろに立つ男性は
『いやいや俺じゃないよ』
と無言の抗議をすべく
首を左右に振る。

誰なんだよ!

そうゆう憤りで車内が
パンクしそうなくらい
怒りのカオスが充満していた。
いや、充満していたのは
オナラのにおいか。

博多駅に電車が着く。

ドアが開く。

私の周囲の誰もが
我先にと新鮮な空気を
求めて押し合いへし合い
ホームへと出て行く。

博多駅のホームの朝の空気が
こんなに清々しく感じたのは
初めてではなかろうか?

全員が電車を下りた時点で
犯人探しは断念することになる。

もう誰が犯人か分からない。

あの車両のあのドアの周辺に
いた人々は気持ちを切り替え
仕事へと向かう。

昨日のモツ鍋が原因だな。
反省する男が一人、
ホームにたたずむ。

この場を借りて謝罪する。

ごめんなさい。

デチャッタ

合掌

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