129発目 ヒロユキとミナの話3。


カルチャークラブ

中学生の頃、今みたいにアメリカの
ミュージシャンよりもヨーロッパが
全盛だった。
シャカタク、エイジア、トンプソンツインズ
デュランデュラン、シーナイーストンetc。。
その中でも、大のお気に入りは
モータウンの影響を色濃く受けていた
カルチャークラブだった。

miss me blind という曲が
資生堂のコマーシャルソング
だったりしたが、一番記憶に
残っているのは
”Karma Chameleon”
邦楽タイトルは”カーマは気まぐれ”だ。

当時は小学生でさえ、この曲を
口ずさむほどだった。
私が高校に入学する頃には
ボーカルのボーイジョージが
ドラッグで逮捕され、一旦解散したと
記憶している。

ともあれ、私はヒロユキの店に行った
次の日は、学校も休みで
一人、アパートでカルチャークラブの
アルバムを聞いていた。

夕方近くなり、さて晩飯でも
食いに行くかと着替えを始めたら
電話が鳴った。

ヒロユキからだ。
『昨日はありがとうございました。』
恋愛経験豊富な私に恋の手ほどきを
受けたいとの申し入れだった。

付き合ってどれくらいで
キスすればいいんですか?
とか、
最初は相手の部屋より、僕の部屋のほうが
いいですかね?
だとか、
やっぱり、ホテルのほうがいいスかね?
だったりとか、
とにかくどうでも良い質問ばかりだった。

彼は女性経験がなく、何から何まで
それこそ、どこに入れたらいいのかすら
分かってない様子だった。

嫌われることを恐れずに
素直な気持ちをぶつければ
うまく行くよと、アドバイスを
したものの、さてうまく行くのだろうか
と心配になった。

数日後、ヒロユキからの電話で起きた私は
彼の沈んだ声を聞いて
ああ、うまく行かなかったんだな、と
想像した。

『いい感じになったんで彼女の部屋にいったんです。』

良かったじゃないか。

違うんです。とヒロユキは続ける。
万事うまく行ったんです。
彼女のほうがリードしてくれて
すんなりと、驚くほどうまく
行きました。
そしてうまくイキました。
(そんなのはいいから!)
で、彼女がシャワーを浴びているときに
なんの気なしに本棚を見たんです。
そしたら、男の免許証があったんです。
オレ、カーっと頭に血が上って
バスタオルを巻いただけの彼女に
『この男は誰だ!』と言ったんです。
なんか、ごちゃごちゃごまかしてました。
そのうち彼女泣き出して、
その人とはもうなんでもないの、
過去の話なのと弁解するんです。
でもオレ、どうしても許せなくて
もうお前とは別れるって言ったんです。

なんだよ、その展開の速さは。
あきれながらヒロユキの告白を聞く。

彼女は別れたくない、まだ始まったばかりだ。
って言って聞いてくれないんです。
そして、本当のことを言ったら
許してくれる?って聞いてくるから
内容によるな、って言ったんです。

内容次第で許すんかい!

それで?と先を促す。

そしたら、その写真は、去年の、
去年までの私だって言うんです。
信じられますか?ミナは男だったんです。

なるほど、確かに過去の話しだ。

ああ、事実は小説より奇なりというが
こんなに身近にこんなことがあるなんて
と、私まで当惑した気持ちになった。

『別れろよ』そう言って私は電話を
切った。
彼は一体、どこに入れたのか気になったが
電話を切ったあとはどうでもよくなっていた。

部屋にはカーマは気まぐれが流れていた。

カマカマカマカマ カマカメレオン

合掌

 

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