114発目 へこたれない男の話。


舞台IMG_1606
最近はサラリーマンのうつ病が
多いらしい。
精神的にまいってしまい、
会社に行く時間になると
吐き気がしたり頭痛がしたりと
やっかいらしい。

私の会社もご他聞にもれず
衛生医を各地域に
常駐させようかという
声もちらほら出だした。

しかし、世の中には
こうしたストレスや、落ち込みといった
事から対極にいる人もいる。

19歳のときの友人は、
『絶対ふられない秘訣があるんだ』
と、豪語していた。

あるとき、実は今から告白しに行くんだ
というので、そのテクニックを
盗みたいからと無理を言って
連れて行ってもらった。

相手はすごく可愛い子で
ああ、こりゃ惚れるのも
分かる気がするなと思った。

食事をしながら3人で
ワイワイと会話を楽しむ。
でもこんな普通の会話で
彼女をオトすことが出来るのか?
どんな秘訣があるのだろう。

友人が目で合図を送ってきた。
おっ!いよいよか。
私は『用事があるから先に帰る』
と言って、その場を一旦去る。

あらかじめ決めていた
告白スポットに先回りし
二人を待つ。

しばらく待っていると
二人は楽しそうにやってきた。
手こそつないではいないが
知らない人が見たら
カップルに見える。
ほほぉ。ホントにうまく行きそうだ
と感じた。正直な感想だ。

私が隠れている木陰から
1メートルくらい離れた場所に
二人が座る予定のベンチがある。
友人はベンチの座る部分を
手ではらって彼女に座るように
促す。なかなか気が利くではないか。

この位置からでも十分声は
聞こえる。
さぁ、君の百発百中の
告白を聞かせてもらおうじゃないか。

『お前さぁ、俺がお前のこと
好きって言ったらどうする?』

なんと!そんな直球を放るのか。

『え~!困る・・・かな?』

彼は一瞬ぴくっとしたが
そのあと、何もなかったことのように
満面の笑みを浮かべ
『ばーか、冗談に決まっとろうが』
と言い放った。

私はずっこけそうになった。

彼は彼女に別れを告げ
私のほうに歩いて来た。
そして先ほどの笑顔で
私にこう言った。
『な?』

『な?じゃねえよ。ふられとるやんか』

彼の説明はこうだ。

さっきのは告白ではなく
探りだ。脈がないときには
すばやく撤退する。コレが
ふられない秘訣だ。と。

彼の精神的な強さに感心しつつも
この方法はまるっきり使えないと
確信した夜だった。

きっと彼はうつ病とは無縁だろうな。

ゲンキカナ

合掌

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