561発目 オシャレな話。


festisite_packers

何がオシャレって、横浜ほどオシャレな街は ないんじゃないか?

もう「横浜」って地名が既にオシャレの代名詞だと思ってたし。

「横浜」って書いて「オシャレ」と読む、みたいな?

だからさ、必然的にオシャレに振舞わなきゃ!っていう強迫観念に襲われるんだよ。そこに加えてオレなんか「見栄っ張り」ってコートを1枚羽織ってるからさ、ややこしいのなんのって、もう。

 

行動も言動もオシャレにする必要があるんだよ。田舎モンだってばれないようにさ。 方言丸出しの時点で田舎モンってバレてるんだけどね。そこはほら、足掻くっていうの?あえて、それは武器ですよ、的な?オシャレなくせに博多弁ってゆう武器? もう電池の切れたビームサーベルばりに役に立たないんだけどね。

 

だからさ、もうね、昼飯って言わないことに決めたんだ。ランチ! やっぱオシャレな横浜のお昼は昼飯じゃなくてランチでしょ? 今言わなくていつ言うの?昼でしょ!つって。 寿司屋に行ってトビコ頼もうとして「ハマっ子」って言ってしまう?みたいな?小倉っ子やろがい!て。

 

んでさ、ランチで思いつくって言ったらイタリアンなわけさ。単純? ああ、単純だよ。だってオシャレ初心者なんだから。初心者だからブレーキとアクセル踏み間違うよ。 横浜の地下街を暴走するよ。 で、やっと見つけたスパゲッティ屋さん。 あ、ダメダメ。今度からはパスタって呼ぶんだった。

 

で、奥のテーブルに案内された。メニューもオシャレだよ。参ったよ もうどこまで果てしなくオシャレ。ずっと向こうの地平線のかなたまでオシャレだよ。オシャレ砂漠。 ホントは高菜のパスタにしようと思ったんだけど、勝手に口が「カルボナーラ」って言ってたよ。びっくりした? 俺も自分にびっくりしてる。モノが出てくるまでどんな食べ物かピンと来てなかったからね。フォカッチャ、アヒージョに並ぶ「オシャレそうだけどどんなルックスか想像のつかない3大食べ物」のひとつだからね。

 

となりにヨボヨボのおじいちゃんが座ったんだよ。やっぱ横浜の年寄りはオシャレだよなぁ。ジジイが一人でパスタだもんなぁ。何頼むのか気になったよ。フォークでパスタをクルクル巻きながら、耳だけはジジイの発言に集中してた。フォークだけは空回り。

 

「カルボナーラ」

 

やるや~ん。そうね。やっぱカルボナーラやね。じいちゃん、それどんな食べ物か知ってる?これよ、これ。ってジジイの方を見ながらフォークくるくる回してたら目が合っちゃってさ。気まずいのなんのって。仕方ないからニコって笑って軽い会釈したよ。ちーっす、みたいな感じで。そしたらジジイが話しかけて来るんだよ。

 

「あのう、お一人ですか?」

 

一人だよ。でも嫌だよ、一緒には食べないよもうすぐ食べ終わるんだからさ。

 

「ちょっとお尋ねしていいですか?」

 

どした、ジジイ?やっぱ一人だと心細いか?あんたもオシャレ初心者なんだな。いいよいいよ、何でも聞いてよ。

 

「あの、さっきから店員さんが『カルボで~す』って言ってるでしょ?ほら、また。」

 

ホントだ。カルボお願いしますとか言ってる。

 

「ありゃ、いったいどういう意味ですかい?」

 

しばし考えて思いついたんだ。でも間違ってたら恥ずかしいから伝票片手に立ち上がりながら言ってやったよ。

 

「若い子達ってすぐに略すでしょ?あれはたぶん『軽くボイル』の略ですよ。じゃ、私はこれで。」

 

「ああ、そりゃいかん。私はしっかりボイルしてもらわないと嫌なんですよ。すみませ~ん」

 

早速、クレーム出してるわ。アクティブなジジイだな。

 

でもさ、じいちゃん。 店出てから気がついたんだけど、たぶんそれね、「カルボナーラ」の略だわ。知ったかぶりしてごめんね。でもさこういうミスを繰り返してさホントのオシャレに近づくんじゃない?

 

ってゆうか、今後はカルボって「軽くボイル」って意味で使ってみたら?新しい言葉? もしさ、世間でこの言葉が流行ったらさ、俺が一番最初に言ったんだからね。そこはじいちゃんには譲らないよ!

 

オシャレッテツカレル

 

合掌

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*