かつてカリスマ美容師というのがいた。
さんざんもてはやされて、あげく
無免許だということが分かった。
かつて私の先輩にも似たような人がいた。
ただし彼は運転免許をもってない人だ。
カリスマドライバーだ。
そんな先輩が無免許で
無車検、無保険という今となれば
非常に恐ろしい状態で車を乗り回していた。
ある日、いつものように無免許で
小倉の町を車で流していた。
大きな交差点でとうとうやってしまった。
事故だ。
交差点の真ん中で先輩の車に
右側からドカンと当たってきた。
白のバンで、窓は全て黒いｼｰﾙが
貼られていた。
スライドドアがガラリと開いて
そこから、両腕にびっしり刺青を
いれたおじさんが下りてきた。
先輩はギアをバックに入れ
もと来た道をバックで戻った。
『つかまったら殺される』
とつぶやきながら逃げて逃げて
逃げまくった。
ようやく追いかけてこないことが分かっても
尚、先輩は『殺される』とつぶやき
車を地元の山奥にあるダムに持っていった。
丁寧に指紋をふき取り
エンジンルームを開け
車体番号を削り取る。
拝むように車に一礼した後、
深夜のダムにそっとその車を鎮めた。
いや、沈めた。
しばらくは、夜遊びすることもなく
おとなしくしていた先輩は
親の都合で引越しをしなければならなくなった。
その時の喜びようはすごかった。
ともあれ、殺されずに済んだし
一件落着と思われた。
数年後、福岡では異例の晴天が続き、
県内のアチコチで水不足になった。
夕方のニュースで水位が下がったダムから
一台の車がクレーンで上げられている
ニュースが報じられた。
ニュースキャスターは
何かの事件に使われたんじゃないでしょうか。
などと言っている。
私はテレビに向かいそっとつぶやいた。
それはカリスマドライバーのゴミですよ。
今頃あの先輩は何をしているのだろう？
ロクナジンセイジャナイナ
合掌
※注；写真は車を沈めたダムです。
アハ！(笑)(笑)(笑)
先輩!!ろくな先輩じゃないわ…( ´,_ゝ`)(笑)
ヤンチャの域超えて悪いなー。
間一髪、一緒に殺されなくてよかったねえ。北九州ならあり得るもんねえ。