大きさ ②


festisite_heineken(1)

相変わらずクラスのみんなは

馬を無視していた。

 

ヒデオとキョウイチもあのケンカ以来

口を利いてない。

 

チヅルも女子達から無視されている。

だからなのか、昼休みになると

チヅルは違うクラスに行ってしまう。

 

ヤマシタは暇をもてあまし

机の上でごろごろしていた。

 

そういえば馬の姿が見えない

と気付いたのは昼休みになって

10分くらい経ってからだった。

 

ヒデオの姿も見当たらない。

 

妙な胸騒ぎがしたヤマシタは

廊下やトイレを探してみた。

が、どこにも馬は居なかった。

 

廊下で途方にくれていると

向こうのほうからヒデオが

歩いてきた。

 

『ヒデオ、馬がおらんくなったぞ。

お前、今までどこ行っとったんか!』

 

『ああ、先生に呼ばれて職員室よ。

馬なら便所やないんか?』

 

『いや、便所も探したんよ。

でもおらんやった。』

 

ヒデオは何かに気付いたような

顔をした。

 

『キョウイチは?

キョウイチもおらんのや

ないんか?』

 

『ああ、そういえば・・』

 

ヒデオは急に走り出した。

 

『おい、待てっちゃ。』

 

ヤマシタも慌てて後を

追いかける。

 

ヒデオはわき目も振らず

体育館に向かって走った。

 

ぐるりと体育館の脇を回りこみ

裏手へ向かう犬走りのところで

立ち止まり、息を整えた。

追いついたヤマシタは息を

切らしながらヒデオを掴んだ。

 

『おい、どしたんや?

体育館の裏に馬がおるとや?』

 

シーっと人差し指を口に当て

ヒデオは体育館の裏手を

壁に隠れてそっと覗き込んだ。

 

キョウイチ達の声が聞こえる。

 

ヒデオはキョウイチの声を確認すると

ばっと壁から身体を離し

キョウイチ達の所へ出て行った。

 

『キョウイチ~!』

 

馬はいない。

 

キョウイチたちはタバコを吸っていた。

教師が来たかと勘違いしたのか

慌てて溝の中に捨てる。

 

『なんや、ヒデオとサトルか。

ビビらせんなっちゃ。』

 

『お前等、馬どこに行ったか

しらんか?』

 

『知るわけねぇやろ。

大体、お前等 村八なんやけ

気安く話しかけんなっちゃ。』

 

『ヒデオ、行こうや。馬は

ここにはおらんぞ。』

 

仕方なく二人はもと来た道を

教室に向かって戻り始めた。

 

『おい、ヒデオ。こないだの

ケリは絶対、つけちゃるけの。

覚悟しとけよ!』

 

キョウイチはヒデオの背中に

捨て台詞をはいた。

 

『おい、ヒデオ、あんなん

言いよるぞ。』

 

『おお、気にせんでええっちゃ。

どうせそんな根性もないくせに。

それより、馬はどこ行ったんかのう。

心配やのう。』

 

二人が教室に戻ると

馬は席についていた。

 

慌てて馬に駆け寄り

二人は問い詰めた。

 

『おい、馬、どこ行っとったんか?

心配して探したんぞ。』

 

馬はノートを差し出した。

 

~心配させてごめん。~

 

見ると馬は顔を腫らしていた。

鼻血も出ているようだ。

 

『おい、どしたんか?それ。

誰にやられたんか!』

 

~転んで怪我したけ、

保健室に行っとったんよ。~

 

言葉に出してくれれば

そのニュアンスでウソかどうか

分かるのに馬は文字にするから

真偽の程が確かめようもない。

 

でも、何故か腑に落ちないと

思っているのはヤマシタだけだった。

 

そして次の日。

馬は学校に来なかった。

 

マタツヅク

 

合掌

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*