札幌のFMローカル番組が
車内のラジオから流れている。
気取ってない選曲が好きで
運転中に流していることが多い。
毎日、あるテーマに沿って
リスナーからメッセージを募り
それを発表しながら曲を
流してくれる。
その日のテーマは
『大人気ない』
だった。
『さ、それでは最初のメッセージ。
中央区にお住まいのラジオネーム
ミケさんからです。
カスミさん、こんにちは。
はいこんにちは。
私の大人気ない話なんですが
子供とおもちゃ屋に行くと
いつも自分の方がおもちゃを
欲しくなって大量に大人買い
してしまうことです。
あ~、わかります~。』
お、おい!
これは『大人気ない』じゃないぞ。
ただの『子供っぽい』エピソード
じゃないか。
あれ?誰も突っ込まない。
『続いて豊平区のラジオネーム
ケンイチさんから。
カスミさんこんにちは、
私はいまだに枝豆を食べるときに
豆を全部出してから食べます。
あ~、それやる人って
結構いますよねぇ。』
あれ?
これも『子供っぽい』エピソード
やん。
あれ?
北海道では大人気ないの
意味が違うのか?
私は車の運転をしている
会社の後輩に聞いてみた。
『おい、これ大人気ないとは
違うよな?』
彼は岐阜県出身なので
『ああ、ボクの地元でも
大人気ないはこれとは
違う意味です。』
と答える。
私が知っている大人気ないは
例えば
子供とトランプをして遊ぶときに
一切手を抜かずに本気でやる。
とか。
小学生にぶつかられて
『お~い、こらぁ。
骨が折れたやんけ。』
とすごんでみる。
とかだ。
おかしいな。
北海道では違う意味で
教えているのかな?
こうなると居ても立っても
いられなくなるのが
私の性格だ。
『おい、やっぱ気になるから
俺もメールするよ。』
そう言って私はFM局に
メールしようとした。
『いつも楽しく拝聴してます。
ところで今日のテーマの
大人気ない、ですが
皆さんの送ってくるメッセージが
軒並み大人気ないのテーマとは
違うのですが、何故誰も
突っ込まないんですか?』
私はメール本文を作成し
送信する前に後輩に
読んで聞かせた。
『どうかな?』
彼はとても冷静に
こう言い放った。
『支店長、そのメールを
送ること自体が
大人気ない行為だと
思います。』
確かに。
ソウシン
合掌